「10月の独り言」


10月26日(金)

 月曜の段階では喉がひりひりする程度、熱も37.1度程度だったので、二三日ですぐなおるだろうと思って高をくくって、火曜日には「ちょっと一杯引っかけた方が治りが良いんじゃないか」などと思っちゃったのが運の尽き、飲みの後早めに帰宅してすぐ寝たにも関わらず、水曜日はげほげほ状態、木曜日は息も絶え絶え状態になり、「早く帰ったほうがいいんじゃないか」とのお言葉をありがたく頂戴して早引けし、熱を測ったら37.6度薬飲み続けているのに、上がってどうするよ、てなもんで、この日も早めに就寝。
 普段夜更かしなものだから、あまり寝つきも良くない。暑いんだか寒いんだか分からないし。こういうときはリラックスが一番と、なるたけ明るいバラエティ番組を見て寝たんだけど、久しぶりに見た夢は、とてもここには書けないような被害妄想と劣等感にまみれたいやなものばかり。夢くらいなんかこう文字通 り夢のある話が見れないものかね? まあ体が弱っていて息も苦しいということもあって、嫌な記憶ばかりがよみがえってしまうのかも知れないけれど。
 「カッコウの巣の上で」という映画があって、その中でジャック・ニコルソン(役名忘れた……)は精神病院の入院患者を街に引き連れていろいろハメをはずすんだけど、そんな行動を通 じて失語症だった男がちゃんと言葉が喋れるようになるんだね。ところがその有り様を見た婦長がその男を問い詰めて「恥を知れ」とばかりに非難の言葉を叩きつける。その男はその瞬間再び失語症になり、そのまま自殺してしまう。そのエピソードがすごく印象に残ってて、時々自分もその男のように、今は環境やもろもろの人間関係の中でなんとか体裁を保っているけれど、核になっている部分は非常に脆弱で、何かの瞬間に崩壊してしまうんじゃないかと思ったりします。時々、何故他の人はそんなに自信たっぷりに行動できるのだろうと不思議に思うことがあるけれど、裏を返せば自分の中に時々何もないのではないかという危うい感覚が常にある、ということなのでしょうか。自分は子供の時に何か大事なものを取りこめずにきてしまったのではないか、その喪失感はあっても、最初から持たなかった物の正体が分からないでいる、そんな感覚。
 なんかこう書くと救いがないけど、要するに遊びが足りなかったっていうことかしら。子供の時心から楽しかったという記憶がないんだね。これはある意味、まずいんだけど今さらどうしようもないし。こういう人間がうまく息の抜き方を知らなくて良い年して人生誤るみたいなことって、結構ありそうでやだなあ。


10月22日(月)

 前日までどうもなかったのに、夜どうも喉がひりひりして寝苦しい。しかも何か寒いんだか暑いんだか分からず、明け方布団がめくれて肌が冷たくなった状態で目が覚めました。それでも念のため出勤前に熱を計ったら平熱だったので、まあよくあることかなと思ってカイシャに行く。
 しかし、どうにも昼過ぎからしんどくなり、医務室に行ってもう一度体温を測ったら37.1度。久々になんか風邪のひき始めみたいな感じ。今年初めてじゃないかな? くそ〜。昨日の朝だってちゃんと「塩水を鼻から入れて口から出す」健康法をしたばかりなのに(効くんか、そんなもの? 坂上次郎さんは毎朝やっているそうだが?
 「いやあ、熱がでちゃいましたよ、37.1度でした」
 と事務室に戻って言ってみたら……
 「あっ、俺も37.2度熱があるんだ」
 「私も37.5度位あります」

 おいおい、みんな風邪引いているんじゃないか! 休めよ!
 とはいうものの、仕事休むとその分後からしわ寄せがくるので、結構みんな休まないんだな。休まないから伝染していくんだな。かくいう私も翌日打ち合わせと来客があるので簡単には休めないのだな……。


10月21日(日)

 自宅でテディ・ベア・ミーティング。前日最後までバーで一緒だったS氏から、テディ・ベアの折り紙を習う。一応折り方の描かれたコピーは貰ってはいるものの、これが意外と難しい。一体に二枚の紙を必要とするので、5人がかりで黙々と二時間近く折っていても20数体しか仕上らないのでした。特に私なんかはすぐ飽きちゃって別 なことやりだすし。
 久々のお客さんということで、本来張り切るべきところなのですが、昨日は買い物行くつもりが夜遅くまで遊んじゃったのでろくに買い物もしていない。海老入りパスタ(バジルの代わりにパセリを使用)とワインカレー(カレーに赤ワインを一本使用、ライスも赤ワインを入れて炊く)を用意したんだけど、パスタの方は分量 の見当がうまくいかずえらくぱさぱさに仕上ってしまいました。


10月20日(土)

 以前にも何度か観たことのあるSERAPH!の舞台、今回は渋谷の「ZA HALL」にて川原泉の漫画を原作にした二つの作品が上演されました。主人公の少女が亀になってしまう「森には真理が落ちている」と、バイト先にいた記憶喪失の青年が親を自殺に追い込んだ青年実業家だったという「ヴァンデミエール〜葡萄月の反動」の二編が、一時間ずつ連続して上演されました。SF大会の司会もつとめたワークショップのメンバーOさんは、今回は制作も兼ねつつ「森には……」の女性役で登場。
 実は川原先生の作品はSERAPH!の舞台には向いているかも、と思ってました。前回の舞台「MIDNIGHT MIME」なんかは、人間の少女を異形の物達が家族代わりに育てているという話でしたし。実際、会話のとぼけた感じとかは結構雰囲気出来ていたと思います。
 でも演出にはよく分からない部分も多かったのでした。「森には……」では、舞台に四つの椅子が置かれていて、出番のない登場人物は黙って鉢を持ってそこに座っている……「人はいるのに孤独な空間が存在する」とでも言いたいのかなあと思ったのだけど、どうもその居心地の悪さは川原作品とはそぐわないような……。もっと普通 に楽しそうにやればいいのに。その点「葡萄月……」は余計な作為がない分好感が持てましたが、なんかウェットになりすぎている気もするし。やはりあの川原作品は、独特の簡単な描線と陰影のないタッチで、決して深刻になりすぎないところが良いのだな。
 森下先生をはじめ、10人以上のワークショップメンバーが珍しく集まったので、そのまま喫茶店→インドネシア料理の店→バーへと流れたのでした。インドネシア料理は、この間バリに行ったばかりのK夫妻の提案。ローストチキンが意外と甘辛く汗びっしょり。バー「門」に行ってマールやらグラッパやらを楽しんでいたらしっかり終電を逃してしまったのでした。


10月14日(日)

 ようやく私の部屋にもケーブルテレビが……。
 実は今まで、うちのテレビでは受信料を払っているNHK があんまりうまく映らなかったのでした。どうやらマンションの電波状態に問題があるらしく、他の民放はそれなりに映るのに、何故かNHKだけは映りが悪く、ブースターを接続してかろうじて観ていたのでした。音声はまあ入るとして、映像の方は二重・三重ににじんだようになってしまって気になって気になってしょうがない……。あれこれ試したもののあまり改善は見られず、内心諦めていたのでした。一年近く管理人にも問い合わせずに放っといたというのも何なのだけど。
 しかし今回、水道管工事に並行してマンションにケーブルテレビが導入されることになり、電波状況を気にせずNHKと民放がきれいに映るようになったというわけ。
 別売のチューナーを買えば、BS放送も見られるみたい。あまり自宅にいる時間がないのだけれど、入れてみようかしら。
 さっそく8時から「北条時宗」を見る。うーむオープニングを完全に鮮明な画像で見るのは初めてかも。思わず感動! もっともそれほど違和感を感じなかったというのも正直な感想でして、やはり人の目はかなり想像で補って外界を見ているということなのでしょうか。この回では兄が止めるのも聞かず時宗がモンゴルの使節を斬首するのですが、報復に報復で答えるというあたりが今の世界情勢を揶揄しているようで色々と考えさせられたのでした。千年近く経っても人間ってやっぱり同じことをしているのだな。ちなみにラスト近くでは筒井康隆が無学祖元の役で登場してたりして、思わずにんまり。


10月8日(月)

 前日の日曜日に、3Dソフトの「ShadeR3」について、元大学時代の知人T氏に教えを乞う。いろいろとアドバイスを受けるが、持っているAdobe IllustratorとShadeのバージョンが違うので何かと難しい点も。
 パソコンでの確認はそこそこにして、そのまま自宅宴会モードへ。「シャトー・モンローズ97年」「シャトー・ギロー89年」「ルロワ・ポマール98年」を抜栓。調子に乗って大盤振る舞い。フランスは良い、という話から米国テロの話へ。テロはいかんし、多くの人が亡くなったのでその犯罪行為を追及するのは重要なことだけど、キリスト教とイスラム教の戦争にしてはいかん、米国の国際政治に対する態度も考慮の余地がある、などと思わず真剣な話題へ(というか、その前に結構しょーもない話ばかりしてましたけど……)

 次の日起きてみたらアフガニスタン空爆のニュースが。結局戦争になってしまったようである
 私の貧弱な頭の中では、まだ貿易センタービル破壊とアフガン空爆とが一つに繋がっていない。軍事施設のみを標的にしているというが、相手は武器ではなく米国旅客機を使ってビルを破壊したのである。テロ行為という犯罪に対する処置は爆撃しかないのだろうか。我々は都市に毒ガスを巻いた反社会集団に対して、その本拠施設に爆弾を落として解決するべきだろうか。なんか違う気がする。
 やられっぱなしでは我慢がならないから報復する、前回お礼状に名前を書いて貰えなかったから今回は軍事行動に参加する、というのはあまりに単純すぎないだろうか。


10月5日(金)

 某会社関係の宴会。昨年の忘年会の失敗は避けようと、「5000円税込飲み放題」「ワイン持込み」「花束贈呈段取り」と事前に確認、万全の態勢でのぞみ、当日はワインとビールを注ぎまくる……と前半はうまくいっていたのですが。
 予約は7時から9時まで、飲み放題コースなので延長なし、と確認していたはずが、8時50分、ころ合いも良しとみて締めにかかり最後の挨拶まで持ってきた途端、パスタが運ばれてきたのでした……まだコースが残っていたのですね。最後は何だか分からず40分延長、乾杯で締めようと思ったらお酒残ってないし……。
 というわけでやっぱり努力しても幹事能力はなかったというわけでした。おそまつ。


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