「2月の独り言」


2月5日(土)

 ちょっとばかりワインの在庫処分に協力したいとのことで、T氏来訪。白・赤それぞれ二本ばかし用意して選んでもらうことに。
 結果として、白は「ツィント・フンブレヒト・アルザス・ゲヴルツトラミネール2002年」、赤は「カマラート・ヴィラ・マチルデ1999年」に。
 生ハムはスペインのハンモ・イベルコと、イタリアのクラテッロを用意して比較試食。どちらも両国の最高峰。スペインとイタリアは意外なところで張りあっているそうで、例えばオリーブオイルなんかは、どちらも自らを本家と名乗って譲らないとか。ヨーロッパ最大の生産量 を誇り、酸度等が厳しくチェックされるスペインに取ってみれば、イタリア物なんか殆どまがいものに見えるらしい。でも実際に日本とかで売れているのはイタリア物。シチリアなど南イタリアのオリーブオイルは確かに美味しいのだけれど、スペインに言わせれば「ヒマワリ油を混ぜている」とか。
 そんなこんなで、ドングリを食べて大きくなった放し飼いの豚から作られたハンモ・イベリコと、尻の肉しか使わないクラテッロを比較して見たわけですが、なるほど比べてみると微妙に違いますね。赤味が強く、どこかハーブのような植物系の風味がするのがハンモ・イベリコで、いかにも「お肉」といった獣の匂いのするのがクラテッロ、と言えるかも。どちらが上、と決められるようなものではないようです。
 さて、アルザスの白ワインの作り手としては、「マルセルダイス」「ワインバック」「ツィント・フンブレヒト」が御三家とされているそうですが、この間ワインの店で実に印象深かった「ライチの香りのするゲヴルツ・トラミネール」を求めて購入したのがこの「ツィント・フンブレヒト・アルザス・ゲヴルツトラミネール」。店の人からは香りが強いのであまり食事には合わせられないとのことでしたが、実際のところは…。詳細はいずれワインのページで。
 もう一本の赤「カマラート」は、古代ローマ時代の銘醸地「ファレルノ」のワイン。最近割とお気に入りのイタリア・カンパーニャのアリアニコ種使用ワインの一つです。
 結構うちでワインやら食材やらをテーマを決めて並べることが多いのだけれど、ここは一つ、架空の店でも設定してメニュー作りでもしようかなどと言って盛り上がる。そういう店を舞台に小説を書くも良し、雑誌風にまとめるも良し。趣味丸出しとはいえ、それなりに気の利いたものができそうな気もしてきたのでした。

2月11日(金)〜13日(日)

 SF大会の企画(といってもまだ正式にエントリーしていないらしい)「マッド・サイエンティストカフェ」「交流会」なるものが開かれるというので、祝日カイシャで仕事をした後に銀座の「M's カフェ」(またえらく企画にマッチした名前の店をみつけたものだ)へ行ったのでした。まあ私も一応、SF好きではあるし理系出身ではあるしで参加資格はあるらしいのだ。というわけで店に着くなり「白衣」を着ることに。そう言えば大学時代に着ていたよなあ。なつかしいなあ。考えてみれば小学校のころから白衣にあこがれて理系を目指したようなものなのですが、いざ研究所に就職してみると白衣ではなく作業着。なるほど白衣はあちこち引っ掛けたりするので作業着の方が安全なのですが、いかにもブルーカラーといった感じであんまし、というか全然気に入らなかったのでした。そんなら背広とネクタイの方がまだまし、というわけで今は研究所とは全く関係ないところで働いていたりします。
「交流会」といいつつあんまし交流もせず、結局当日何をするのか分からないまま飲み会終了後解散。
 土曜日は実家の家族と新宿「大志満(おおしま)」で会食。私も母親も誕生日か近いので。ここぞとばかり弟にプレゼントをねだり、結局自宅用ソーダフォンと小型のソー・ア・ヴァン(ワイン冷却用桶)、そして体脂肪測定機能付き体重計を買ってもらったのであった。私はミネラルウォーターは炭酸入りが好きで、しょっちゅうペットボトル入りの炭酸水を買っているので、ソーダフォンは前から欲しいと思っていたのですが、案外と高いものなのですね。体脂肪率の方は早速測ってみたのですが、20%とまあまあ無難な数値。まだまだ大丈夫じゃん。
 日曜日は恵比寿の「ジョエル・ロブション」へ。以前一回だけ行った「タイユヴァン・ロブション」ですが、昨年末惜しくも閉店、結構はやっていたはずなのに何故……と思っていたら、オーナーシェフはそのままで「ジョエル・ロブション」として再開。ネットや雑誌で読んだ限りでは、その内容は賛否両論分かれているみたいでしたが、何はともあれ行ってみようということで、強引に誕生日会を開催。一応男性はジャケット着用なので、ブラック・ジャック・ネクタイとご丁寧にシニア・ワインアドバイザーバッチまで付けて集合。
 あのスペインの有名レストラン「エル・ブジ」にも影響を与えたという、ちょっと創作系や懐石風のスタイルを取り入れた、なかなか楽しいメニューでした。一皿目は小さなグラスにサーモンとニンジンが盛りつけられ、ソースはエスプレッソ風に泡立ててあったりします。黒い皿に陶器の器で出されたスープの底にはムースが沈められていて、手長エビのグリルにはクスクスが添えられ、真鯛の蒸し煮もイベリコ豚のローストもどこか和風のテイスト。バースデイ・デザートは、イチゴの上にチョコレートでかたどった「ハッピー・バースデー」の文字が乗せられているという凝ったものでした。  
 
 グラス・シャンパーニュに、白は「サン・ロマン・シャルドネ1999年」ハーフボトル、赤は「シャンボール・ミュジニー・レ・フォスロット1998年」 フルボトルと、ワインの方は極めてまっとうな選択。もっとも私以外は殆ど飲まないか全く飲めない人だったので、少なくとも2/3以上は自分一人で飲んでいるような……ついでにデザートワインとしてルーションのグルナッシュ・赤の甘口までグラスで頼んでしまいましたが。
 その後お店でシヤトー・ムートンのラベル・ポスターを入手し、始終ご機嫌……なのはいいのですが、やはり昼間から飲みすぎたようで、喫茶店で一服している時は半分近くうつらうつらしていたような気が……。

2月20日(日)

 東京ビックサイトで開催の、コミッティア71に参加。
 今回は「マッド・サイエンティストカフェ」の宣伝ということで、メンバーが2名ほどお手伝い。ホームページ案内を入れたティッシュを会場で配るとのことで、スペースを一部提供。
 さすがに続き物をやっているせいか、買う人は決まってしまっていて、場所を取っていてもなかなか人は来ない。ふとみると音なりのスペースには人だかりが……。展示スペースに白い紙を貼ってその場で墨一色のイラスト描きを実演していたのでした。なるほど下書きもなしに筆一本で細かいドラゴンのイラストを描き上げてしまう、というのはなかなか見ごたえがあります。くそう次回は私もそうしようかな。向こうがモノクロならこっちはカラーで……(そこまでヒトマネしなくても、と言われそう……)。
 その後銀座まで繰り出して、ささやかな打ち上げ。地下鉄の駅の入り口近くにあるカジュアル・イタリアンの店でしたが、ワインの方はなかなかの品揃え。しかも価格は極めて真っ当。「シェイファー・メルロー」がデパートの小売価格と同じ程度で飲めてしまうのだ…! ということでさっそく注文。大体において私が飲み会に参加すると勝手にワインを注文するので単価がいきなり跳ね上がってしまう……ということで結構嫌がられてしまうのですが、まあそこはそれとしてあきらめてもらうしか。


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