08年/「第47回SF大会(DAICON-7)」報告


●開催:2008年8月23日〜24日 大阪府岸和田市立浪切ホール
●参加企画:第一日  1)開会式
           2)FREEDOM 上映会(池田憲章他)
           3)SF創作講座(森下一仁、梶山信義、三村美衣)
      第二日  1)SFアニメの45年(氷川竜介)
           2)日本SF全集(日下三蔵)
           3)「ニ」はニセ科学の「ニ」(菊池誠、堺三保、山本弘)

「開会式」
 朝食バイキングの後、午前10時頃ホテルを出て南海線で岸和田駅へ。駅から浪切ホールへ向かう途中「SF創作講座」司会担当のAさんと会う。
 11時から大ホールで開会式。期待のオープニングムービーは数分程度の短い実写。女の子が変身して外宇宙から来たモノリス状の異生命体を撃退するというもの。笑えるところもあったことはあったがあまりにもあっさりした印象でした。本編は39分あってDVDを一枚3,500円で販売するとのことだが、どうせ時間が余るのなら全部流せば良かったのに。小松先生の開会の言葉(録音・画像は途中から)、だんじり祭りの格好をした市長のユニークな挨拶の後、女性型ロボットの紹介で開会式は十五分程度で終了。

●「FREEDOM上映会」
 午後1時から同じく大ホールで「FREEDOM」上映会。日清カップヌードルのCMで流れた大友克洋原案のSF物。本編は30分×7巻からなる中編で、特に注目すべきエピソードとして第2巻と第7巻を上映。確かにこの2編で物語の全体像を知るには十分かも。絵も動きも細かく、これでは確かにOVAとしては予算オーバーになりそうな内容。本編のところどころにカップヌードルがそのまま出てくるのはご愛敬というか、少々不自然ですらあります。月世界の閉鎖的な社会と地球の復興にあえぐ社会との交流がテーマ。6分の1の重量 の月世界で暮らした人類が地球で暴れることができるとは思えないが、上映されなかった回ではその辺の説明はあったのでしょうか。 

●「SF創作講座」
 午後3時から6時半は毎回恒例の「SF創作講座」。第2回以後毎回出席しているのですが、何故か回を重ねるごとに点数が下がっていく……。実際作品にかけている時間も徐々に短くなっているので、ある意味当たり前かも知れませんが。  
 その後、創作講座で一緒だった森下先生と共に、7時から日本SF作家クラブ懇親会・立食パーティに参加。作家さん方にあまり知り合いはいないのだが、このパーティでは瀬名秀明さんと名刺交換ができたし、元出版芸術社で知り合った日下三蔵さんともお話できました。  
 9時からまた自主怪獣映画上映などの企画があったものの、かなり酔っぱらい、また森下先生が同じホテル宿泊ということもあったので、この段階でホテルに戻ることに。

「SFアニメの45年」
 
「鉄腕アトム」以後の日本SFアニメを網羅的に解説する企画かと思っていたら、内容的にはむしろアニメとSFの親和性に関する議論が中心でした。絵を連続して映写 して動きを作るアニメの手法は、生存本能に根差した人間の未来予測感覚によって成り立っているという、かなり大きな話。エイゼンシュタインによれば、モンタージュ、カット割りはただ繋げるのではなく、異なる物を並べるからこそ、そこに断層が生じるからこそ動いて見えるといい、ある意味俳句に近いのだと述べたという。俳句は「古池や」「蛙」と関係ない物を並べることでそこに動きをもたらしている。人間は次の動きを常に予測しようとし、その動きが予測できれば正常に、予測と異なっていれば異常に感じるので、それをうまく活用し配置することで面 白さを導き出す。すなわち予定調和を否定することで動きにインパクトが与えられる。会場ではこの理論について、「鋼の錬金術師」の一場面 を繰り返し上映して説明していた。  同じ映像で、「ダブルアクション」の説明もなされた。これは一連の動作の後に、一部それを繰り返すことによってその動きを強調するもの。この場合も主人公が相手に蹴りを入れた時、その動きをロングで見せた直後に、蹴られた相手の顔のアップを、主人公の足を入れずに一瞬繰り返して流すことによってアクションを生き生きしたものに見せている。  全体的に、アニメの持つ世界観に関する議論が中心で、肝心の「SFアニメ史」にはなっていなかったのは少々残念。かなり未上映の資料も多かったらしい。

●「アートギャラリー」「フェルミ・ラボ」
 12時からの企画までに時間が空いていたので、2階の準備室で開催されていたアートギャラリーと、4階の会議室のフェルミ・ラボへ。アートギャラリーでは、通 常のSF関係のイラストに加え、グロテスクな人形写真とその模型の実物展示が印象的。フェルミ・ラボは理系バーのイメージで、白衣姿で化学にまつわる名前のカクテルを飲ませてくれるところで、「マッキントッシュ」というカクテルを注文したら、ラムをアップルジュースで割ったものが出てきました。

●「日本SF全集」
  12時からは「日本SF全集企画」日下三蔵氏編集により出版芸術社から来月刊行予定の、全六巻からなる日本SF短編アンソロジー。星新一からはじまり小川一水まで網羅し、一人の作家につき一作品を紹介するというなかなか楽しみな企画。作品を載せている眉村卓さん、森下一仁さん、そして翻訳家の山岸真さんによる打ち明け話。全集企画とは関係のない話も飛び出してきてなかなか楽しい会でした。「蟹工船」「カラマーゾフ兄弟」が売れていて、「世界の中心で愛を叫ぶ」などといったタイトルの本が評判になる一方で、「虎よ、虎よ」「夏への扉」といった名作が絶版状態というのも、なかなか厳しい出版状態ではあります。

「SFアニメの45年」
 2時からは「『ニ』はニセ科学の『ニ』」。毎回と学会の発表を楽しみにしていたのですが、今回はトンデモ本紹介というより、ニセ科学にまつわる話の紹介。ホーガンの「揺籃の星」「黎明の星」におけるベリコフスキー理論の話に始まり、疑似科学とニセ科学の違いについての議論が続いた。ベリコフスキー理論とは、50年代に「衝突する宇宙」という本によりアメリカで話題となった、「木星から星が飛び出して金星となった」という話で、科学的に否定されているにも関わらずホーガンは本気で信じているらしいとのこと。  山本弘著の「神は沈黙せず」では、超能力を説明する解説を色々載せているとか、「Intelligent Design Network」というサイトではかなり変わったキリスト教主義の科学解説があるとか、「反進化論講座」という本では空飛ぶスパゲッティ・モンスターが地球の重力を操っているとか、加速器を使って実験を行っている研究施設内の書店で「相対性理論の大間違い」という本が売られていたという話など、なかなかバラエティに富んだ内容。  会場からは、「理科の教師をしているが、他の科目の教師が非科学的なことを言ってもこちらが信じてもらえない」とか、「医師をしているが、抗ガン剤を否定する団体の影響で患者が言うことをきいてくれない」とか、ニセ科学の浸透もかなり深刻な問題となっているという発言がありました。  

 閉会式は4時からで、本来なら星雲賞の発表などがあるのですが、前々日新大阪〜大阪間で電車が遅れたこともあったので、少し早めに会場を出て新大阪へ向かいました。余裕の帰宅の筈でしたが、三島〜小田原間で大雨のため新幹線が2時間以上の遅延。これでは早めに出ても何にもならなかった……。東京駅着午後11時半、新潟までの列車は終了していたので東京駅でそのまま朝まで。始発で帰りました。新潟までまあ2時間程度寝られるかと思ったら、車内は異常に冷房がきいていて寒くて眠れず。もう充分朝は涼しいってのに! 



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