「7月の独り言」


<続編映画ばかり>
 映画といえば休日にまとめてとかいうパターンが多かったのですが、最近ではなかなかそうもいかず、カイシャ帰りに夜9時以後の深夜料金で観に行くくらい。カイシャのある大宮のとなりのさいたま新都心まで歩いていくと、「MOVIXさいたま」があるので。メジャーな作品のオンパレードで、正直もう少しマイナーな映画も観たいところなのですが、都心の単館シアターとか最近行けなくてつらいところ。
 気が付けば公開されてる映画は続編ばかり。「ターミネーター4」「トランスフォーマー・リベンジ」「ヱヴァンゲリヲン・破」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」「天使と悪魔」はある意味「ダ・ヴィンチ・コード」の続編だし。公開予定作品も、「アイス・エイジ3」に「トランスポーター3」に「20世紀少年・最終章」……いや、もちろん完全な新作というのもないわけではないんですが、なんとなくヒット作のシリーズ化の方が企画が通 りやすそうな傾向は否めませんね。まあ観に行く方も続編の方が出来不出来に関わらず安心感があるのも確かかも。
 続編やシリーズ物は逆に言えば完結していなかったりするのでまとまった感想が書きにくいなあ……ということで映画感想のページではなくここにまとめたりして。「ターミネーター4」は、現代が舞台の「審判の日」を回避するのがテーマのシリーズから、「審判の日」が起きてしまった後の物語へと軌道修正。冷戦終結後のテロリズムの時代を反映して、人間の力が終末戦争を回避する可能性を描く物語から、既に殺戮が日常となってしまった状況であがく人間像を描く物語へと転換しています。ここまでくると果 たして続編の意味が……? と思わないこともないのですが、人間を文字通り「収穫」する巨大機械ハーヴェスターや、バイク型のモトターミネーターなどのデザインは秀逸で、主人公ジョン・コナーを演じるクリスチャン・ベイルも、新バットマンシリーズのダークで孤独なイメージと重なって意外といい味出してます。もっとも、ターミネーター達を過去へと送り込むタイムマシンも、液状化するターミネーターであるT-1000タイプも登場してこないので、キャメロンの監督した2作品の持つ驚きや爽快感には欠けるかも。例によって「…続く」な訳ですが、それならばそれで次に続く予感のようなものももう少し盛り上げて欲しかったところ。
 「天使と悪魔」の原作自体は、主人公のラングドン教授が、マッハ15の飛行試作機でジュネーヴまで連れていかれる冒頭から、反物質爆弾がローマ上空で爆発する結末まで、いかにも盛り沢山でハリウッド映画向きなのですが、それだけに映画の中に収まりきらず、かなりの部分が省かれてしまい、セルン(CERN)側の人間は殆ど登場せず、ちょっと物足りない気も。反物質といえば、同じく科学と宗教の確執をテーマに盛り込んだ星野之宣氏の「2001夜物語・悪魔の星」という傑作があったので、それに比べるとやや食い足りないか。ヴァティカンのローマ法王庁をネタに扱うとなると、映画化もかなり大変だったのではと思うのですが、それだけにそこの部分に関心のない人にはピンと来なかったのでは……。
 「ヱヴァンゲリヲン・破」「序」の続編で、全4部作の中の第2作。殆どTVシリーズの描き直しに過ぎなかった「序」に比べて、「破」では新しい登場人物も加わり、物語やキャラクターの設定にかなりの変更が加わっています。十年以上昔となるTVシリーズでは、登場人物は公衆電話を使って話をしているのですが、「破」では登場人物達はしっかりケータイを握りしめています。主要人物達がある意味「ひきこもり」であるエヴァの世界では、携帯電話というアイテムは非常に似付かわしいものだと思っていたので、これにはある意味納得。シンジ君はTVシリーズでも炊事をこなしていましたが、劇場番ではさらにその弁当男子ぶりに磨きがかかり、回りにいそいそと手作り弁当を配ったりしていて、アスカに「まあまあね」などと言われたりしています。それに感化されたレイがいきなり料理などをし始めたりして、このキャラクターってこういう性格だったっけと戸惑ったり……。新しい登場人物のマリも、そもそも何で出てきたのか良く分からないし。パンフなどによれば、他のメンバーと違って喜んでエヴァに乗るようなキャラクターが欲しかったということらしいんですが、ろくに説明もないまま唐突にメンバーに入っているのでとても違和感あり。まあ、続編ができるたびに世界観がバラバラになって似ても似つかぬ 作品になってしまった「ガンダム」シリーズよりは、同じストーリーをなぞる形で再映画化している「エヴァ」の方がまだ好感が持てるかな。


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