「4月の独り言」


<終わるもの
 何かと終わるものが多い季節ではあります。3月には色々とテレビ番組も終わるし。TBS「世界遺産」もナレーター変わったし。購読紙の一つ、新潮社の「フォーサイト」も休刊。A4サイズ・100ページ程度の分量で結構重宝した月刊誌だったんですが、ホームページ版の展開を待つしかないかな。「生者は必ず滅ぶ。今あるものには必ずおしまいの日が来る」とは掲載されているコラムの締めくくりの言葉。肝に銘じなくては。

 「フォーサイト」最終号冒頭に紹介されていたニーアル・ファーガスン氏に興味を感じ、その唯一の翻訳のある著作「憎悪の世紀」(上・下)を購入。何よりもそのタイトルに惹かれたというのが正直なところ。自宅の本棚にはフーコー「狂気の歴史」とか、オーディン「不安の時代」とか、ピーター・リーライト「子どもを喰う世界」とか、いかにも題名で選びましたという本が並んでいます。いや中身も当然ながらみな面白かったのですが。「憎悪の世紀」では、第1次大戦から第2次大戦まで、20世紀がいかに大量虐殺の時代だったかが描かれています。本書では、スターリン独裁政権下のソビエトで、大量の政治犯を収容所へ送り込んで安い労働力提供者として酷使したことが書かれていますが、同じ頃読んだ岩波新書「ルポ・貧困大国アメリカU」には、まさに現在のアメリカで、サブプライムローン破産者や学資ローン破産者を刑務所に送り込んで、その刑務所がやはり安い労働力を提供するビジネスの場として注目を浴びているという記載があります。ロシアもアメリカも、共産主義も資本主義も、根本の所では大して変わらないということなのかしら。


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