9月

【映画】トレイ・パーカー&マット・ストーン「サウスパーク・無修正映画版」
 あの「サウスパーク」の映画版であります。下ネタオーケー、差別用語オーケーの可愛いながら過激なアニメで、私もDVDなど買ってしまったりしているのですが……切り絵が主体のシンプルな絵なんだけどなんか味があるのですよね。さて映画版ともなると、テレビ以上に好き勝手できる、ということでしょうか、向こうの規制については良く分からないんだけど、「BIGGER, LONGER&UNCUT」というあおり文句の通り、「よくぞここまで」とさすがに驚く程過激であります。
 カナダの下品なコメディー映画が子供達の間で評判になり、下品な言葉を連発するようになり、それに対して親達がテレビで抗議する……というここまではフツー。そこからエスカレートしていって、アメリカ対カナダの戦争が始まってしまう。しかもそれを虎視眈々と見守っているのが地獄のサタンと、彼を愛人にしているサダム・フセイン。他の人物はブルック・シールズにしてもウィノナ・ライダーにしても単なる似顔絵なのに、フセインだけは実在の写真を使っていて、エンドタイトルにもHIMSELFと書かれてしまう始末。カナダ人なんかみんな目が点、口が線のおんなじシンプルな絵で描かれてるし、絵はシンプルながら血飛沫は撒き散らすし、いいんかなここまでやってと思いつつも、思わず楽しんでしまいましたね。最後の最後で毎回死ぬ役のケニー君が素顔を見せてくれるというのも、一種のファンサービスなんだろうな。


【映画】ブライアン・シンガー「X-MEN」
 待ちきれずに先行オールナイトで観てしまった「X-MEN」でありますが、昨年の「エピソード1」と「マトリックス」に比べると、一回目上映にもかかわらず劇場は満員には至らず、やはりアメコミの知名度は今一つのようです。
 突然変異によって様々な異能力を身につけた新人類ミュータント。人類とミュータントの共存を望むエグゼビア教授の率いる「X-MEN」達と、それと対立するマグニートーとの戦いがメイン。
 「敵は強大、味方は少数」というのはそそるあおり文句なんですが、マグニートーの手下はミスティーク、トード、セイバーテゥースの三人、一方のX-MEN達はサイクロプスやウルヴァリンを含めて5人近くいるわけだから、充分味方の数の方が多いような……。ここに人間達から不当に差別されるミュータント達、という図式がはまれば、彼らの戦いが報われない、孤独な悲壮感漂うものとして結構「魅せて」くれるのではないかと思うのですが、そういうシーンはあまりないので、ちょっと物足りない印象。そうでなくても、これだけの数のキャラが登場して1時間44分というのは短いんじゃないかしら。
 「マトリックスを超える映像」とCMで言っているけど、そこら辺の映像テクニックを期待していくとちょっと……という気がします。SFX自体はそれほど新しくはないし。でも冒頭のポーランドの収容所で後にマグニートーとなる少年が、両親を救いたい一心ではじめて超能力を発揮するシーンや、触れた相手から生命エネルギーを奪ってしまうが故に誰とも触れ合うことができないローグの流す涙など、印象的な場面もあり、そこに作り手の思い入れを感じることができます。
 実は「X-MEN」は読んだことはないんですが、アレックス・ロスのコミック「マーヴルズ」の第二話ではこの「X-MEN」が取り上げられていて、私が「X-MEN」の概要を知ったのもこの作品からでした。そこでは不当に差別され、レンガを投げられるミュータント達の姿が描かれていて強いインパクトを感じたものです。「マーヴルズ」の主人公のカメラマンは他の人々同様ミュータントを脅威と感じていたのですが、自分の子供達がミュータントの子供を匿っていることを知り、暴力の矛先が自分達の家族にまで及ぶかも知れぬと考え悩むことになります。できれば映画版でも、そういったシーンを挿入して欲しかったですね。

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