「11月の独り言」


11月18日。
最近なにかと仕事の量が多いです。
もっともだからといって「よく働いている」とは言えないのでありました。なにしろカイシャの仕事というのは、何だかんだ言っても殆どが「人にやってもらっている」物なのです。よーするに上の人達の決めたことを、とても自分一人じゃできないから別な人達にやってもらうわけ。
「これやって置いて下さい、明日までに」そーゆー極悪非道なことをへーきで言うわけであります。多分自分が依頼される立場だったらさぞかし「勝手なこと言うんじゃねー!」と思うであろう事を。「しょうがないんですよ、会議で決まったことなんで。僕のせいじゃないです。はっはっは」なんてことを言うわけにもいかないけど。
最近何かとしめつけが厳しいんで、どーしても知らず知らずタイトなスケジュールになってしまうわけですが、ほんとのところ、「良い物を作るには時間がかかる」と思っているので、「逆立ちしてでもやれ」という風潮はどうもなあ。ワインだって樽で熟成させるからおいしくなるのだ。追いつめられた方が知恵を絞れる、という側面もなきにしもあらずですが、そんな「窮鼠猫を噛む」状態で延々とやっていくわけにもいかないし。そんなことしてたら、いつかは猫に喰われっちまいます。所詮ネズミなんだから。
そんな中、仕事を抜け出すようにして夜、深夜上映のたむらしげるさんのアニメ「クジラの跳躍」を見に行ったのでした。(ちなみに一緒に仕事をしているK君は泊まり込みで仕事。かわいそーに。ホントに僕って極悪非道ね。)詩情あふれるCGアニメを堪能しました。23分の作品を仕上げるのに2年以上の時間をかけたとか。やっぱり良い物を作るには時間をかけなくっちゃね。

11月12日。

熊本へ出張に行った時、乗った飛行機のニュースで淀川長治さんの死去を知る。

89才とはもう十分お年だったわけだが、考えてみれば物心ついた時から日曜洋画劇場の解説者としてなじんできたので、なかなかに感慨深いものがある。映画館など滅多に行くことのなかった子供時代は、映画すなわちテレビであり、何よりも予告編を観るのが楽しみだった。中学の頃には、既に月曜の洋画は荻昌弘、水曜の洋画は水野晴夫、土曜の洋画は高島忠夫、日曜の洋画は淀川長治というスタイルが確立していた様に記憶している。荻氏は早くに亡くなり、いつの間にか水野氏や高島氏も解説をやめ、最後まで残っていたのが淀川センセイであった(木曜の洋画は誰か女性の方がやっていたけど……まだやっているのかな?)。いつも好きな映画をやっていると言うわけではないし、そう時間もない時も、10時45分頃、本編が終わって解説と予告編が流れる頃にはテレビをつけてチェックをしていた様な気がする。へたをすると本編そのものよりも予告編が好きだった。今でも「予告編の方が良かった」と思う作品がないわけでもない。

「映画と結婚した」と宣言できた淀川氏は、少なくとも幸せな一生だったと言えるに違いない。一見温厚そうで、その実意外と辛口な批判家だった氏の評論に、必ずしも常に賛同していた訳ではなかったが、そのある種の潔さにはいまだに脱帽せざるを得ないのである。


11月9日。

漫画を描くのにたまに使うトレース台の調子が悪いので、あらためて新しいのを買うことにする。仕事を早めに切り上げて、新宿のTOOへ。夜九時までやっているので、会社の近くよりも利用することが多いのだ。

フジカラーのイルミネーターを購入。ついでに本屋にも立ち寄り、由貴香織里「天使禁猟区」12巻と吉田秋生「夜叉」4巻を購入。軽食の店でパスタとピザを食べながら読んでしまう。「夜叉」は双子の話が中心となっていた。今描いている漫画に似ているではないか……まいったなあ。

カメラを持って夜の都庁へと散歩。夜景を撮影して漫画の資料にするのだ。しかし行ってみると、あいにく都庁は6時で閉館(知らなかった……普通調べて置くべきだろうが……)。仕方がないので、そこら辺を歩き回ってビルを撮影し、住友三角ビルの展望台まで上がって夜景を撮影。ラッキーなことに、それほど寒くなかった。それにしても、今描こうとしている漫画はヒューストンが舞台なのだが……ちなみに私は以前にも、ドイツを舞台にしているのに、新宿のビル街を資料にして看板だけドイツ語にしてごまかしたことがあった。なんて適当なんでしょう!


11月6日。
このところ不本意な残業続きで、ろくに漫画も描いていない。
今日も十時ちかくまで会社にいたおかげで何もできなかった。しょうがないので録画したテレビを観る。どうせならそんなもの観ていないで何かすれば良いのだが、妙なもので意地でも録画した番組は観ずにはおれないのだった。これはきっと、子供の頃、テレビを観る時間を制限されていた反動であろう。同じように自分の使えるお金が自由になった途端に、ソフトクリームだのコーラだのを飲み食いするようになったものだ。
ドラマ部門では、「ソムリエ」はなんだかしんどくなってしまったのでこのところ観ていない。代わりに観るようになったのは「眠れる森」である。一応睡眠療法を扱ったミステリータッチのもの。多分犯人はあいつなんだろうと思って観ている。
アニメ部門では「彼氏彼女の事情」。なんと今回は、殆ど一字一句漫画原作のセリフそのままなのに加えて、ついに原作漫画のそのまんまコピーが画面に流れている。うーん、その手があったか。「エヴァ」でも後半紙芝居調になったりしていたけど、今回は原作があるのでもっとスムーズにこなせますね。でもまだ六回目だよ、これ……。「クレヨンしんちゃん」も観る。一番安心して観ることができる作品かな。
NHK特集も意外と見逃せない。最近の収穫は「シリーズ・海」「世界ワイン紀行」。これは永久保存版ですね。
いまいましいことに、どうも最近ビデオの調子が悪い。なぜか録画スタートから3〜5分間、画面が全く写らなくなるのだ。その後は正常に録画されるので、使えない訳ではないのだが、予約録画は必ず五分前から始めなくてはならない。非常に効率が悪い。やれやれ、酷使しすぎたかな。

11月3日
この日は休日。久しぶりに家で漫画を描こうと気合いを入れて朝テレビを観ていた(?)ところ、いきなり休日出勤している弟から電話があった。
実家の母親は肺の具合が悪くなって病院で検査を受けていたのだが、気管支鏡検査でファイバー・スコープが肺を突き破ってしまい、緊急手術を受けたとのこと。
慌てて病院へと向かう。黒いジャケットに黒いサングラスという浅暮さんパーティーと殆ど同じ格好で。
行ってみると既に処置は済んでいて、吸引チューブをはめてはいるものの何とか大事に至らずに済んだらしい。
よくよく聞いてみると処置は先週のうちに終わっており、もうすでに肺の傷も塞がったらしい。連絡くらいよこせっちゅーの。
昼、病室で弟と落ち合う。殆ど会社に泊まり込み状態で仕事をしているとのこと。夜は糖尿病で入院している友人を見舞いに行くという。なかなかハードなスケジュールである。
父親は来ていなかった。母親に尋ねると、
「昨日は来てたけど、今日はマージャンに……」
「……」
11月1日。

京極夏彦を読了した先輩達と集まって、伊豆へ「へびと村探検」に行って来ました。
「へびと村」は京極作品「塗仏の宴」の舞台になった架空の村。従って実在しないと思われますが、やはりファンともなれば、作品の舞台の付近は実際に観てみる必要があるでしょう。
前日は先輩のところで一泊、昨年末に放映された「ゲゲゲの鬼太郎」の京極版(京極センセイが脚本・キャラ設定・声優の三役をこなしたというレア物)を復習(?)し、万全の態勢で臨んだのでした。
「塗仏」の記述によれば、韮山の毘沙門山周辺が「へびと村」に相当するとのことでしたが、「これこそ!」という決定的な場所は確定できずじまいでした。もっとも、なかなか面白い所に行き着けたので良かったです。
写真の現像が上がったら、さっそくこのページで紹介することにしましょう。 
(やはりデジカメを買うしかないか?)
次は「鉄鼠の檻」にちなんで「明慧寺」を探すツアーをするという話もあります。うーん、参加するしかありまい!


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