さて、自作のお菓子の家まで用意した2004年のクリスマス会ですが、結構ワインの持ち寄りが多く、10本近く空けたのに、自宅持ち出しは3本程度でした。リストアップするとこんな感じ。
・シャンパーニュ・ニコラ・フィアット・パルム・ドール1992年(仏・シャンパーニュ)
・アモンティリャード・アルヴェアール・カルロス7世 (スペイン・シェリー)
・フランケン・シルヴァーナー・シュペートレーゼ2001年(独・辛口の白)
・ファルツ・ビッサースハイマー・シュタイク・ベーレンアウスレーゼ2000年(独・甘口の白)
・シャトー・メルシャン・東京大学1997年(日本・辛口の白)
・ヴェセヴォ・タウラジ1997年(伊・赤ワイン)
・ルロワ・ブルゴーニュ・グラン・オルディネール2001年(仏・赤ワイン)
・ファトリア・パラディーソ・ミト・カベルネ・メルロー1999年(伊・赤ワイン)
・サン・ペドロ・ガトー・ネグロ・カベルネ・ソーヴィニヨン2003年(チリ・赤ワイン)
・久保田・紅寿(新潟の清酒)
・百億の昼と千億の夜(徳島の清酒・ALC.29%)
こうして並べてみると、色んなところから集まったもんだなあとあらためて感心。
「シャンパーニュ・ニコラ・フィアット・パルム・ドール1992年」は、シャンパーニュ大手のニコラ・フィアット社のビンテージ物。いわゆるビンテージ物の中ではわりとすっきりとしていて爽やかな印象。これは全体にイボイボのついた瓶が独特で、それが気に入って購入したもの。最初の一杯として一気に飲んでしまいましたねえ。
「アモンティリャード・アルヴェアール・カルロス7世」は、100%ペドロ・フィメネスのアモンティリャード。アモンティリャードはいわゆる辛口のシェリー「フィノ」を長期熟成させたもので、この「カルロス7世」には「20年熟成」と書かれていました。それにしては一本3,000円程度とお手頃価格ではありましたが。ふくらみのある甘口のお酒で、アルコールは19%とやや高め。どちらかというとデザート向きで、食前酒としてはやはりフィノの方が合っているかも。
「フランケン・シルヴァーナー・シュペートレーゼ2001年」は辛口の白。シュペートレーゼは「遅摘み」の意。前回の飲み会でKさんが持ち込みしてくれたもの。ボックスボイテルと呼ばれるひらぺったい瓶に入っています。辛口ですが、ドイツの辛口はどこか果
実味を感じさせますね。口当たりは軽やかですが、余韻はあります。
「ファルツ・ビッサースハイマー・シュタイク・ベーレンアウスレーゼ2000年」。こちらは極甘口の白。Sさんが「うちの旦那に呑ませるのは勿体ない!」(ヲイヲイ……)とわざわざ自宅から持ってきたという秘蔵のワイン。ベーレンアウスレーゼは「粒選り」の意で、貴腐を含む過熟状態の粒だけを選んだもの。上記のシュぺートレーゼ、アウスレーゼ(房選り)からさらに上を行く規格。これよりさらに上にある「トロッケンベーレンアウスレーゼ」になると「貴腐粒選り」となって、頑張ってもハーフボトルしか手に入らないほどの結構なお値段となります。若干琥珀がかった黄金色で、梨や桃を思わせるフルーツの香りと、口の中に広がる甘い風味が印象的。
お次は「シャトー・メルシャン・東京大学1997年」。前回Iさん持ち込みのシャルドネ100%のワイン。母校でこんなものを売っていたとは! 知らんかった! シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー製造のスペシャル・キュベで、2002年発売の1200本限定生産。大学の生協で売っているのだそうで、まあいわゆる面
白ワインのたぐいかと思いきや、これが意外としっかりと作られた白ワインなのでした。若干の樽香は厚みのあるボディとマッチしていて、非常に素直な印象。それなりに熟成していて普通
に美味しかったです。
ここら辺から赤ワインに。「ヴェセヴォ・タウラジ1997年」。最近ちょっとハマっている「タウラジ」の一つなんですが、イタリアの古い品種「アリアニコ」を使用しているのに、味わい自体はとても現代的。そのまま飲めばカベルネと思うような果
実味と、バランスの取れたタンニンが魅力的なワインです。
「ルロワ・ブルゴーニュ・グラン・オルディネール2001年」は、赤ワインがあまり好きではないというAさんの持ち込みワイン。クリスマスのプレゼント交換の時にも同じ物を出されていたのですが、「ルロワ」と言えば、かつてはロマネ・コンティの共同経営者でもあった由緒ある作り手なんですぞ。「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール」は、ブルゴーニュ全域で作られる、ムロン(白)、サシー(白)、セザール(赤)、トレッソ(赤)の4品種が使用可能なAOCであります。ブルゴーニュの赤と言えばピノ・ノワールとガメ種オンリーと思いきや、こういう変わり種もあるのですね。味わいは上質のピノ・ノワールと変わりません。ルロワならではの透明感のある果
実味とシャープさを兼ね備えたワイン。
「ファトリア・パラディーソ・ミト・カベルネ・メルロー1999年」。イタリアのエミリア・ロマーニャ州に1950年に設立したファトリア・パラディーソ社のメルローを使った赤ワイン。「ミトMITO」は「伝説」の意。そういえばラベルにもなんかそれっぽいイラストが描かれています。非常にまろやかで、ソフトな仕上がりですが、実際に口に入れてみると意外と濃厚で余韻も長い、これはなかなかお勧めのワイン。
さて、タイトルにしている「サン・ペドロ・ガトー・ネグロ・カベルネ・ソーヴィニヨン2003年」ですが、Yさん持ち込みのこのワイン、チリの名門、1865年設立のサン・ペドロ社のシリーズ物。「ガトー」はスペイン語で「猫」のことで、赤がカベルネ、青がメルロー、紫がカルメネールというふうに品種ごとにラベルの色が違うのですが、こちらはクリスマス限定ボトルで、黒猫がなんとサンタクロースの格好をしている! というわけでこれはまさしくこの季節ならではのワインであります。チリの赤ということで苦渋味のしっかりした、はっきりとした印象。ラベルよりシャープな感じですね。
Sさんは日本酒「久保田」を持参。今回の新潟地震で結構ダメージを受けた酒造メーカーだと聞いています。詰めたばかりの製品が割れてしまい、かなり品薄のはず。すっきり辛口タイプのお酒でした。K野さんの持ち込みは「百億の昼と千億の夜」。清酒なんですが、アルコール度が29度もあります。思わず、焼酎なんじゃないの? とラベルを読むとやはりしっかりと「清酒」と書かれてます。「このお酒は当社が開発した霧造りという全く熱を加えない製法で造っています。しぼったままのお酒を生のまま霧にし、霧の雫を一粒一粒集めてお酒にしたものです」とのこと。良く分からないけれど、減圧蒸留みたいなものかしら。嗅いでみると確かに吟醸酒のような香りがするのですが、アルコールが強いので口の中では完全に焼酎。ある意味不思議なお酒。何より名前が良いですね。光瀬龍&萩尾望都の名作そのまま。うーん「ゆきのまち幻想文学賞」パーティの時に欲しかったですねえ。