「プス・ドール・サントネイ・レ・グラヴィエール」2002年



 フレンチのお店を同じ週に2回も訪問することは滅多にないのですが(お気に入りの店でも何ヶ月もご無沙汰になってしまったりする…)、今回は特別で、「Via Vino No.51. "Champagne"」でお世話になった「マノワ」さんに三日後に再び訪問してしまいました。
 恒例になっている「マノワ・ディナー」。毎回鮮度が高くてかつ工夫されているメニューと共に、ブルゴーニュワインを中心に味わう訳ですが、今回の最初の一杯は「ニコラ・フィアット・ブラン・ド・ブラン・ヴィンテージ2004年」。先の会で同じフィアットの2005年を味わったばかりですが…これがより香ばしさの増したまさに垂涎の一品! こうなるとやはり2005年は飲むのが早すぎたか? しかもラベルは2005年のものと違って鮮やかな蛍光の緑色! 非常に得した気分であります。ヴィンテージの評価では2005年の方が上でしょうが、今飲むなら明らかに2004年の方が満足度高し! であります。

  ←鮮やかな緑色が印象的な「ニコラ・フィアット・ブラン・ド・ブラン・ヴィンテージ2004年」

 さて、白、赤共に今回もぜひともワインリストにない珍しい物を…と無茶を承知でオーダーしたところ、例によって私の好みは全て把握されているわけで、白は「クロ・ド・ラ・ブス・ドール」の造り手「プス・ドール」の珍しい白、「ラ・プス・ドール・サントネイ・プルミエ・クリュ・レ・グラヴィエール2002年」が登場! プス・ドールの白なんて飲んだことない! 何でもたまたまこの1本だけ入手できたのだそうで、当然ながらリストにもなく、しかも2002年といえばブルゴーニュの当たり年で10年以上熟成というのも申し分ないタイミングです。実際に飲んでみると、バランスが良く刺激も少なく、一見大人しめなのですが、余韻は長く心地よさがずっと口の中に残る感じ…。まさに良質なブルゴーニュの理想型の1つではないかと思った次第。ピュリニー・モンラッシェの硬質な感じや、ムルソーの甘味(最近ではシャープな物が増えた気がしますが…)など、特徴のはっきりしたワインも良いのですが、自己主張せず、なおかつ存在感が残るというのが、フィネスが身上のブルゴーニュにはふさわしい気がするのです。

 ←存在感の際立つ「ラ・プス・ドール・サントネイ・プルミエ・クリュ・レ・グラヴィエール2002年」

 そして待望の赤、「やはりこの流れなら…」ということで、「プス・ドール・クロ・ド・ラ・ブス・ドール1994年」の登場であります。白・赤共にプス・ドールの熟成レア物! その意味で私にとっては「真打ち」なわけですが、よく見ると以前に飲んだ「クロ・ド・ラ・ブス・ドール1999年」とラベルが違う! どうやら1995年頃まではラベルデザインそのものが違っていたようです。20年近い熟成を経ていながら、まだまだ若々しい印象。コート・ド・ニュイの綺羅星のようなグラン・クリュ、強い動物香のあるシャンベルタン系や、華やかなヴォーヌ・ロマネ、紅茶のようなミュジニーと比べると、どちらかといえば大人しい印象のヴォルネイですが、歴史は古く、1328年のブルゴーニュ公国の戴冠式で振る舞われたと言われるヴォルネイは、コート・ド・ニュイが台頭する前の16世紀まで、ブルゴーニュで最高とされていました。「フィネス」「精妙」「繊細」といった言葉が似合うヴォルネイは、その意味でやはり私にとってのブルゴーニュの代表格なのです。

  ←ラベルが違う第2弾!「プス・ドール・クロ・ド・ラ・ブス・ドール1994年」

  
 ↑「3つのアミューズ」「ホタテ貝のポワレ 黒こしょうオイルのパウダーと西洋わさびのアイス添え」「冷たいコーンポタージュ・トマトのジュレと共に」「イシガレイのムニエル」「マダムビュルゴーが育てたシャラン鴨もも肉のロースト・夏みかんのソース」「デザートのミルフィーユ」

 さて、最後に一品、お店からのブラインドテイスティング! 日頃偉そうなことを言っているとこういう時試されてしまいます。グラスの赤、ヒントは「フランス以外の生産地」…さて色合いはかなり濃い紫、若くて果皮の色の濃いワイン。香りは…かなり個性的。これはゆで卵の香りでは…抜栓して間もないこともあって、やや硫化水素のニュアンスが強い気が…味は、ドライで色の割にはタンニンは控えめ、果実香もあるものの強くはなく…非常に悩ましい。苦し紛れに出した答えが「中国産のワインでは…」どうも慣れ親しんだワイン生産国とは違うような気がするものの、どこかは明確に判定できず、でありました。

 正解は「スロヴェニアのワイン」! 品種は「テラン」いやさすがに飲んだことないって……。ラベルに「Ren?el」とありますが「?」の読み方が分かりません。

  ←シンプルなラベルの「Ren?el」(レンチェル、でしょうか?)

 調べてみると、「テラン」という品種は、スロヴェニアワインの黒葡萄の中では比較的中心的なもののようで、確かに最初は違和感があったものの、しばらく置くと馴染んできて、なるほどこれはこれで、と思った次第。珍しさという意味ではイチオシですが、他にもいくつかの銘柄が輸入されているようで、もう少し色々飲んでみなくては。



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