ワールドコン/グラスゴー滞在記

第二日(
8.5.Fri.)「ワールド・コン一日目」

 


 二度寝して午前七時に起床。昨日とはうってかわって快晴! さてどうしたものか? 初日から寄り道してアートセンター巡りか、直接SECC(スコットランド・エキシビション・センター)の大会会場に向かうか……。
 七時半、とりあえずホテルの一階で朝食。意外と充実していて、卵もベーコンもソーセージもフルーツも美味。やや野菜が足りない気もするが、トマトは甘酸っぱくて日本の物よりも味が濃い感じ。

  ←モート・ハウス ここに泊まりました。会場のすぐ近く。 

メイン会場となるSECCの入り口 

←SECC内部

 九時頃歩いてすぐ隣のSECCへ。通路で偶然Nさんと会ったので、登録受付の場所を教えてもらい、登録カードとパンフレット一式を貰う。二階のギャラリー・ビストロでシードルを飲みながらパンフレットを眺める。慣れない英語だと内容を把握するのに時間がかかります。ちなみにシードル(MAGNERS ORIGINAL VINTAGE CIDER)は褐色に近い濃い色で、アルコール度は4.5%、ハーフボトルで値段は£2.75
 会場の位置関係はある程度分かったものの、内容については今ひとつピンとこない。一体どこ行きゃいいんだ、これ……。とりあえず十一時になったので、アートショーのコーナーを観に行くことにしました。入り口に立つと、荷物を預けるように言われてやや戸惑う。大丈夫かしら。ここには壁一杯にプロのアート作品が並んでいました。印象に残ったのは
Christ Mooreの宇宙船と戦闘機のイラスト。曲線で描かれたブーメランの様で、これがリアルに動いたら相当格好良いのでは。Juraj Maxonの、どこか異様なホラーっぽい絵も面 白かったです。Anne Stokesの絵は、女性の顔の顔が針金で両方から引っ張られているというなかなかグロテスクなもの。他にも奇妙なイラストが沢山。購入もできるのですが、一枚が百ポンド以上するので、ちょっと手が出せませんでした。
 十二時には、
Japanese Sci-Fiの企画部屋へ。小谷真理さんや巽孝之さんによる日本のSF大会その他の紹介。おなじみのメンバーが集う。Oさん、Yさんはマッドサイエンティストカフェのメイド姿で、Kさんはお子さん連れで、Nさんともう一人のOさんは着物姿で登場。日本での宴会場面 に続き、田中光さんのイラスト紹介、韓国の「秋葉原」の紹介、ジェンダー研の紹介、Nさんによる日本の食玩の紹介と続く。会場ではそれなりに受けたけど、五十分という制限時間の中ではやや脈絡がないような印象でした。もう少し日本のSF大会の活動に的を絞っても良かったような気もしました。
 終了後メンバーに挨拶し、三時過ぎに
Science of Aliensのスライド上映へ。昆虫や水棲動物を元にした異星の生物環境の話らしいのですが、自分の英語力ではほとんど理解不能。情けない……。

 昼食を取りに、モート・ハウスに戻りラウンジに。それほど空腹でもなかったのですが、結局白ワイン(Kell’s Edge, Australia, 175ml, £3.4)とステーキ・サンドイッチ(5ozを注文、しめて£13。例によって塩・こしょうは自分でかけるのですが、意外と美味。それにしても、我ながら何故ステーキに白ワイン?

  ←ステーキ・サンドイッチ

 その後Armadillo(イベントホールの名前ですがね確かにアルマジロのような形をしている!)の企画をちらりと覗いた後、三時半からの企画Anime-1へ。日本のアニメーションを紹介する三日連続の企画。1943年の有名なプロパガンダアニメ「桃太郎」の紹介から、「鉄腕アトム」「鉄人28号」「ジャングル大帝」まで。実際のアニメフィルム上映を間に挟んでの講演会。「アトム」が「アストロボーイ」と呼ばれているのは知っていたが、「ジャングル大帝」は「キンバKIMBAと呼ばれるらしい。ディズニーの「ライオンキング」との因縁話について面 白可笑しく話していたが、肝心の笑えるところの英語が一番分からない。冗談を言う時は口調も変わるので余計聞き取りにくいし、どうもこちらの笑いの感覚がピンと来ないこともあるのかも。

 自販機で炭酸飲料を購入して一休み。PET500ml£1.2というのはどうも、日本と比べてもあまり安くないような……。五時からの企画Current SF on TVを覗いてみたものの、期待していたフィルム上映はなくお話ばかりで内容はさっぱり分かりませんでした。

 六時からはWhiskey, Bourbon & Ryeの部屋へ。ウィスキー試飲ありの、どうやらSFとは全く関係のないスコットランドならではの企画でしたが、これも司会の人たちの英語が殆ど分からずじまい。アイリッシュ・ウイスキーがスコッチよりマイルドであることと、日本のウイスキーとしてサントリーが紹介されていたことがかろうじて分かった程度。これはかなり情けない状態ではないでしょうか。もう少し本腰入れて英会話に取り組もうと思いつつ一度ホテルの部屋へ戻りました。

 九時からヒルトンホテルで次回のワールドコンのパーティがあるというので、とりあえずネクタイと黒のスーツに着替えてタクシーでヒルトンへ。行ってみるとまだ会場は準備状態。しばらくその場をうろうろしていると、NさんとOさんに遭遇。そのままノルウエーの会場などを見て回りました。パーティと言っても想像していたものとはかなり異なり、誰も正装なんかしていないし、飲み物はあるけれどろくに食べ物はなし。巽さん、小谷さんとパーティの後十一時頃食事に行こうかということになったものの、メイド姿のOさんやYさんは引っ張りだこ状態で、巽さんたちも知り合いが多くなかなか出かけられない。そうこうするうちに十二時に。もうお目当ての中華料理の店も終わっているし。「フランケンシュタイン・カフェ」(名前が良いですね)というところが午前三時までやっているとのことで、タクシー二台で向かうものの、着いてみるとクラブのようなところで、しかも長蛇の列。とても入れないということで、ちょっとやばそうな夜中のグラスゴーをうろついた挙げ句「バーカーキング」が空いていたのでそこに入ったのでした。いかにも柄の悪そうな若者達(偏見?がわあわあ言っている中、もそもそとオニオンたっぷりのチーズバーガーを食べる。一人なら絶対に来れないよこんなところ。少なくともネクタイとスーツで来るところではありません。店の外ではなにやら若者達が騒いでいましたが、けんかしているのかじゃれあっているのかすら判断がつかない。途中でフィッシュアンドチップスを買ってホテルで食べたいというNさん、Oさん、Iさんに付き合って(女性ばかりなので、一応役に立つかどうかはともかく護衛の意味で)、タクシーを拾い何とか無事にヒルトンまで辿り着く。

 午前一時半、ヒルトンの部屋で、揚げたハギスとフィッシュアンドチップスをつまみながら簡単に酒盛り。ハギスはスコットランドの名産品で、羊の挽肉にスパイスを混ぜたもの。後からOさんとYさんも戻って、しっかり飲み会。さすがに疲れているのかOさんはそのままダウン。翌日車を会場まで出すので予行練習したいというIさんの運転で、午前二時半にホテルに戻りました(なにせこっちは免許持ってないもので……)。そのまま風呂にも入らず就寝。


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