ワールドコン/グラスゴー滞在記
第四日(8.7.Sun.)「ワールド・コン三日目」
この日は予定通り午前七時に起床。といっても朝が四時頃から明るいので、結構早めに目が覚めてしまう。
午前十時、特に見たい企画もなかったので、「アニメ」を一日中流しっぱなしにしている部屋を覗いてみました。「灰羽連盟」を上映していました。意外にマイナーなセレクション。客は三人程度で、朝早いとは言え、それほど流行ってはいない感じ。「ジャパニメーション」とか銘打ってもまあこんなものでしょう。初回三本ほどのエピソードを流したところで、上映終了。十一時からは「カウボーイ・ビバップ・映画版」を上映すると書かれていました。
十一時から、「Misread Tolkien」の部屋へ。スライドなし、質疑応答のみの企画だったので、なんとなく雰囲気は分かるものの、例によって細かいところは分からずじまい。十二時には、「Dinosaur survival」。かなり広い部屋で、スミソニアン博物館にいる研究者などがコメンテイターとして並んでいましたが、恐竜温血説などわりと普通 の話に終始していたような……。
午後一時には、「サイン会」のコーナーに名作短編「歌う船」の作者アン・マキャフリーが来るというので、三番ホールに並びに行く。既に長蛇の列。四、五名の作家が合わせてその場に座っているため、果 たしてこれがマキャフリー向けの列なのだろうかと思わず不安に。あまりに長い列なので、一時から二時という時間の中で順番が回ってくるかどうかも解らない有様。後からKさんとOさんが列に合流。Kさんは自分がレビューを書いた文庫本を、Oさんは会場で購入したという「歌う船」の原語版ペイパーバックを持参。こちらは何も準備していないので手持ちのノートに書いてもらうことに。結局一時間近く並んだ後、やっと順番が回ってきたので、丁度その直前にやってきたYさんに写 真撮影を頼み、無事サインをもらうことに成功しました。
←アン・マキャフリー先生と
サイン会に一時間もかかってしまったので、一時からの企画「Star Wars」はあきらめ、二時からの企画「Anime-3」を覗くことに。YさんとKさんも同行したが、Kさんはお子さんが途中で泣き出したのでリタイア。この部屋は日本のアニメの歴史を紹介するもので、司会の人がなかなかのやり手らしく会場は爆笑の渦。「ガンバスター(トップをねらえ)」のラストシーンが上映されていましたが、泣かせるラストシーンではすかさず「ティッシュは要りますか」と締めくくり、「エヴァンゲリオン劇場版」では、「死ぬ
のはいや」と延々と繰り返すアスカの声を、29,..30,…とカウントしたりと、場の盛り上げ方がやたら巧かったです。最後は新海誠氏が一人でデジタルソフトを使って短編アニメを制作したという「ほしのこえ」を上映して終了。内容に付いて行きにくい企画が多い中、非常に分かりやすく多いに楽しめた講演でした。
三時半からの企画は特に見たい物がなかったので、モート・ホテルのパブに行きオーストラリアワインの赤(カベルネ・シラーズ)を一杯注文ししばしくつろぐ。
五時から「Anime and Sci-Fi」の部屋へ。一昨日のマンガ企画にコメンテイターとして出席していた、2007年日本ワールドコン実行委員長の井上氏が司会。通
訳がついて、逐一訳すのですが、全般的にこのパターンでは少々つらいのではという印象。実質半分しか時間を使っていないことになります。どうせなら全部前もって英語に訳しておいて、それを読み上げた方が良かったのではないかしら。内容的にも少々初心者には勝手の分からないものだったように思われたし。手塚治虫が日本のマンガに決定的な影響を与えたことを述べるのは良いのですが、その例としてディズニーのバンビとピノキオを漫画化した、という話を持ち出しても、単に模倣者としてのイメージしか持たれないおそれがあるし。もっとスライドなどを多用して、視覚で訴えかけた方が良かったように思います。
六時にディーラーズルームの日本コーナーで待ち合わせて、Nさん、Oさん、もう一人のOさんと夕食に。パブでいかにもイギリスらしい夕食。スコッチ・エールにハギス、フィッシュアンドチップスにオーストラリアワインと、ある意味英国風食事の総決算という感じ。Oさんはこの日大聖堂に行ったとのこと。丁度ミサをやっていたので、オルガンの生演奏が聴けたそうです。うらやまし〜!
←パブでの夕食
最後のイベント、ヒューゴー賞授賞式は八時からでしたが、既に時刻は八時二十分。外へ出るとまるで午後三時くらいの明るさ。タクシーで急ぎ会場に向かう。到着してみると、既に式典は始まっていました。アカデミー授賞式のように、広いステージの中央に司会者が立ち、バックに司会者のアップが映写 されます。
Best NovelはSusanna Clarke “Jonathan Strange & Mr. Norrell”、Best NovellaはCharles Stross “The Concrete Jungle”…タイトルも著者も聞いたことのないものばかり。分ったのは映像部門のみ。ハリー・ポッター(舞台が舞台だからこれが選ばれるかと思ったが、そこはヒューゴー賞、それほど普通 ではないのだろう)やスパイダーマン2などがノミネートされる中、受賞したのは「The Incredibles」(Mr.インクレディブル)。やはりピクサーは強かった!
授賞式の終わった十時過ぎ、さすがに夜も更けて、暗くなった外に出て、そのままヒルトンへ向かうバスに。何と無料で二階建てバスに乗れるのだ。相当待たされはしましたが、屋根のない二階に座って夜景を眺めながら優雅な短いバス旅行を楽しむことができました。
ヒルトンで再びパーティルーム巡り。さすがに最終日は疲れたので、そこそこ見て回った後、Nさん達の部屋でしばらく一服してからホテルに戻りました。
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