「マージナル」2006


 


 今年も空想小説ワークショップのメンバーから受賞者が出た「ゆきのまち短編小説公募」、さっそく審査員の萩尾望都先生を呼んで祝賀パーティが開かれました。場所は池袋駅近くの自由学園・明日(みょうにち)館。過去には「ポーの一族」の登場人物にちなんで「メリーベル」「バルバラ異界」にちなんで「バルベーラ・ダスティ」など、毎回それなりに工夫を凝らしてきました。さて今回は……。
 ちょうど最近エノテカで見かけた「マージナル」というワイン。これはもうこれで決まりしかあるまい! 「マージナル」といえば、1985年から1987年まで「プチフラワー」に連載されたSFマンガ。当時の萩尾先生の作品群はまさに傑作の森、前年の1984年には「半神」「エッグスタンド」「X+Y」「偽王」といった傑作短編・中編が立て続けに発表され、第二期作品集として随時刊行されていました。ある意味「マージナル」は、傑作長編「銀の三角」と共に、この時期の作品群を締めくくる集大成的な作品なのです。
 一方ワインの「マージナル」は、ロワールのソミュール・シャンピニィでカベルネ・フランから作られる赤ワイン。ボルドーからやって来た若き醸造家ティエリ・ジェルマンによるもの。「かのシャトー・シュヴァル・ブランにも迫るワイン」とは少々言い過ぎな気もしますが、濃い色調で、赤い果 実特有の華やかな香りがあり、苦渋味もしっかりしています。カベルネ・フランの持つ青っぽい香りはやや控えめで、それでいてどこか軽やかさのある味わいは、パーティで皆で飲むにはぴったり、と思ったのですが、いかがでしょうか。 「マージナル」とは「境界線」「限界」を意味し、それを超えるという気持ちをこめて名付けたものだそうです。
 ちなみに、空になったワインボトルは記念に先生に差し上げてしまったので、いつものようにラベルを剥がしてスキャンすることができませんでした。従って上記写 真はビンテージが違っています。あしからず。
 当日は萩尾先生漫画家生活40周年ということで、パーティ会場で飲むワインとは別 に、先生へのプレゼントとしてワインを用意しました。ボルドーの「クロ・レオ」。当然ながら、先生の新刊、飼い猫レオ君の楽しい活躍を描いた「レオくん」にちなんで。評判の良い銘柄ですが、私も自分の分を別 途買ってセラーに寝かせています。実際に飲んでから、またこのホームページで紹介しようと考えています。



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