03年/「第42回SF大会(T-CON2003)」体験記



●開催:2003年7月19日〜21日 ホテルニュー塩原
●参加企画:第一日  1)SFアートギャラリー<通し企画>(堀直樹)
           2)ガメラ4襲撃!(林家しん平)
           3)UFO現象学講座再び(磯部剛喜)
           4)ロード・オブ・ザ・リング字幕の裏側(高橋誠)
           5)蛍雪次郎&浅暮三文座談会(螢雪次朗、浅暮三文)
           6)デンキネコ粗大上映会(中村犬蔵)
      第二日  1)昔の大会フィルム上映会
           2)トンデモ本大賞記録ビデオ上映会(藤倉珊)
           3)SF創作講座(森下一仁、塩澤快浩、三村美衣、平田真夫)
           4)みんなで受けるSFセンター試験
           5)空想音楽大作戦2003(早川優、不破了三、腹巻猫、尾山ノルマ)
           6)出渕裕「ラーゼフォン」(出渕裕)
           7)韓国まんがまつり(出渕裕、牧真司)
      第三日  グランドフィナーレ


「SFアートギャラリー」
 前回の大会ではお休みだったこの企画、堀直樹さんから案内を受けて私も参加しました。とりあえず描き下ろしは断念し、今描いている作品「冬の日の幻想」から表紙やカラーページを引用したB4イラスト作品を二つ持参したのでした。
 バロウズの火星シリーズの文庫表紙を描いていた武部本一郎氏の画集パネル展がすぐ隣で行われていたので、見劣りするのはしょうがない。期間中何度がぶらぶらしていたところ、ゲスト参加の長谷川正治さんが講評をしてくれるというのでさっそく展示場に。穏やかな口調で適確なコメントを頂くことができました。
「たとえばこの辺……この中心人物はもう少し大きく描いた方がいいですね。上の方にはみ出るくらいに。そうすることによって大きさが表現できます」
 ……まったくその通りなのですが、実はこれは作品集第七巻の表紙。本のタイトルを配置する関係上、上の方に余白を残していたのでした……。
 次回は描き下ろし作品で参加したいものです。

「ガメラ4襲撃!」
 「ガメラ3 イリス覚醒」の続編を、落語家である林家しん平が監督して仲間と一緒に作り上げた自主映画。正確には「駕瞑羅四」なんだけど字がつぶれちゃうので「ガメラ4」の表記で勘弁してもらおう。前に尾山さんから上映会があるという案内を受けた時は、平日ということもあり行けなかったんで、気になっていたんですよね。まさかSF大会でお目にかかることができるとは……。片腕を失ったガメラに、ギャオスの大群が襲いかかる……というシーンで幕切れとなった3作目のラストから物語は始まるのですが、実際に着ぐるみを段ボール(?)で作り、CGの得意な人を見つけだして空中戦をリアルアニメーションで作り、自衛隊の協力まで取り付けて戦車の発砲シーンを撮影するなど、かなり凝った作りでありました。映画3作に脇役で参加している螢雪次朗氏も友情出演……というか殆ど主役級の扱い。ストーリーは、襲いかかるギャオスの群を捨て身の先方で撃退したガメラに、他の同類達を上回る能力を持つ白いアルビノギャオスが襲いかかりこれを倒す。ガメラは海底で復活するが、アルビノギャオスに立ち向かうガメラは首都東京をも火の海と化す……その訳は……と、なかなかハードな展開。もっとも私には、螢雪次郎氏のコミカルな役回りはあんまり必要とは思えなかったのですが……。ちなみに、本編上映前に流される二頭身アニメ「ガメ太郎」も結構笑えました。いちいち「ガメガメ〜」と相づちを打つガメ太郎君がなんか可愛い。
 それにしても本格的な続編映画を作ろうとしたその意欲は並々ならぬものがあります。いったいどうやって自衛隊の戦闘シーンまで撮れたんだろう……こっそり演習場を盗撮、というわけにもいかないだろうし、と思ったら、何でも落語家として慰問に行くので自衛隊の方々とは仲良しなんだそうだ(ホントか?)従って作中の自衛隊員はみんな本物。いやはや恐れ入りました。
 ちなみにこの螢雪次朗氏と浅暮三文氏の座談会がこの後行われました。このお二人、十数年前に浅暮氏が螢雪次朗氏の主催していたコントグループの座付作家をやっていた頃からの仲だそうで、この「ガメラ4」の上映会を期に対談をしようということになったのだとか。浅暮氏いわく、自分は本当に仲間や先輩に恵まれていたとのことで、座談会の終わりの方では思わず感涙にむせび泣く場面 も。確かにその通りなのかも知れないけれど、一方で幾つもの空き箱にアイデアカードをためていくという地道な努力も氏の才能を支えているのであって、恵まれている人間だけが作品をモノにしているわけではないのです。

「デンキネコ粗大上映会」
 夜中の二時頃、そろそろ寝ようかなとホールの前を歩いていると、中から「帰ってきたウルトラマン」「ワンダバダ〜」マーチが……! 思わず中に入ってみると、モノクロの自主製作アニメを上映していました。非常に造形はシンプルで、筒と円すいだけでできているような猫型ロボット二体がバトルをしているんだけど、これがなかなか本格的な仕上がりなのです。ビルが次々と爆破されるシーンは、いかにもCGなんだけど迫力満点。でも登場人物は全部デンキネコこと機械仕掛けっぽい猫だけで、ニャーニャー言うだけ……という何とも言えないギャップが笑えます。「佐藤慶です」と名乗ってアホウドリ(?)がナレーションを務めるという流れもグー。思わず午前三時過ぎまで観ちゃったよ。

「SF創作講座」
 毎年SF大会で行われる、事前に提出した作品をプロに講評してもらうこの講座、今回はいつも企画・編集・進行役を務めていた杉並さんが不参加ということで、毎回レベルの高い作品を提出し続けていた平田真夫さんがその全てを引き受けてくれたのでした。多くの常連が大会不参加、杉並さんの知り合いやワークショップのメンバーもあまり参加せず、また今回から原稿一枚あたりの参加料を集めるということもあって、前回の22作品から今回は10作品、教材となる「でならひ草子」も370ページから124ページへと半分以下へボリュームダウン。心持ち小さめにまとまった感があります。子供と猫を使った作品が評判良かったですね。当然といえば当然だけど。
 しかしある意味午後1時から4時半までじっくり講評が聴けるわけで、今回は一作品あたりの時間が沢山もらえたのでした。その意味では今回こそ力を入れるべきだったのだな。ちなみに私の提出作品は「帰ってきたウルトラセブン第一話・他人の星」。パロディともパスティッシュともつかない、ウルトラセブンの新シリーズを想定したSF短編。本人としてはそれなりに設定を工夫しテーマ設定したつもりだったんだけど、確かにパロディとしては食い足りない部分が目立ったかも。僅かに塩澤編集長からテーマに関して好意的な意見が出たにとどまり、全体の中では下から数えたほうが早い評価となりました。くそ〜。次回は「いかにも小説」らしい小説を一人称形式でまじめに書くことにしようっと。
 次回の企画参加がどうなるかは結局その場で打ちあわせとかもなかったので分からずじまいだけど、今回時間が間に合わず保留にしたSFミステリーのアイデアがあるのでそれを書くつもり。今回の作品はあまり評価が得られなかったこともあるので、そのうち短編小説コーナーに入れます。

●「みんなで受けるセンター試験」
 第二日目の企画が一通り終わった後、各会場で午後五時から行われたのが「SFセンター試験」。試験問題は全て四択、内容は古今東西全てSF関連(?)のものばかり、合計100問を20分で解答するという結構ハードなテストなのでした。なにしろ一分間に五問解かなくてはならないのだ。
  作家や評論家、筋金入りのヲタク達の集まる大会で開かれる試験、最近ロクに本も読まず映画も観てない私では、さぞかし歯が立たないだろうことを見越して、サイコドクターの奥さんことM美さんに誘われるままサブ企画「みんなで受けるセンター試験」の方に参加したのでした。しかしいきなり会場で「体力に自信ありますか?」と聞かれる。あるわけないだろうそんなもん、と思ったのですが……この「みんなで受ける」試験は、問題が読み上げられるたびに、参加者めいめいが会場内の床に記された1から4までの区画に即座に移動しなくてはならないのだとか。100問もあるからなるほど確かに楽じゃないかも。しかし体力以上に知識に自信がないし、まあ体育館程度のスペースだからそんなに走り回ることもないだろうと気を取り直して挑戦。
 結局40人近い参加者がいたので、逆にそれほど走り回らずに済んだのでした。四十分程度で100問クリア。なにしろ誰かが「これは4番だ!」と言ったら、みんなしてそっちの方向へぞろぞろと動くだけだからラクなのだ。意見が分かれることも当然あるのですが、まあ結果 として八割方正解が選べたようです。
 問題内容は結構マニアックで難しい。なにしろ第一問からしてぶっ飛んでる。

「第一問 紙の発火温度は何度か?
     1. 華氏415度  2. 摂氏233度  3. 華氏844度  4. 華氏212度」

 SFを全く知らない人はとても即答できるような問題ではないのですが、レイ・ブラッドベリの有名な長編に「華氏451度」(早川文庫)という作品があり、トリフォーによって映画化もされたらしいのですが(なんと読んでもいないし観てもいない!)、この題名がすなわち紙の発火温度なのですね。というわけでみんなして一番を選ぶ。しかしここに落とし穴が……。「415度」ではなく「451度」なのだ。華氏を摂氏に直さなければならず、その変換式は華氏=摂氏×9/5+32。正解は二番。そういえばワインアドバイザー試験対策でも勉強したっけなあ。だがこんな計算即時にできるはずねえだろ!
 この「みんなで受ける」では超難問でも誰か一人が正解を確信できれば結構みんなが恩恵にあずかれる。でも皆が悩む問題で、私が自身を持って答えられたのは二問だけ。

「第31問 コリン・ウィルソン『スパイダー・ワールド』は実は彼のファンである作家が訳出したものである。その作家は誰か?
     1. 芦辺拓  2. 太田忠司  3. 森博嗣  4. 小森健太郎」

 皆が首をかしげる中、私が大声で「4番!」と宣言。なにしろ知り合いだからな。本棚に飾ってあるだけでまだ読んでないけど。

「第82問 次のうち、翼竜でないものは?
     1. プテラノドン  2. アルケオプテリクス  3. ケツァルコアトルス  4. ランフォリンクス」

 私の他にも何人かが「ケツァルコアトルスは翼竜だよ!」と言ったのだが、2番と4番とて結構人が分かれてしまった。アルケオプテリクスは始祖鳥のこと。しかし……これってSFの問題かね〜。他にも「鉤爪一つに目が五つなぁ〜んだ?」の答えが「オパピニア」なんてのがあったけど、これって先カンブリア紀の生物。SF読むのも楽じゃないなあ。

 三日目のグランドフィナーレで優秀者の発表。一位は松岡秀治さんの68点、二位 がなんとサイコドクターの66点さすがだ! ちなみに一位 の賞品は火星の土地……なんだそりゃ?
 さて我々が参加した「みんなで受けるセンター試験」の方は、なんと81点。参加者全員が81点をもらえるわけですが、さりとて全員を一位 扱いという訳にもいかず、抽選で一人に賞品を、ということになりました。そこで選ばれたのがなんとサイコドクターの奥さんであるM美さんであったのでした! サイコドクターの知識と奥さんの強運が合わさってまさに無敵の夫婦だ! それにしても、サイコドクター夫婦に司会の尾山さんを含めて、ワークショップメンバー強し! なのでした。 

●「空想音楽大作戦2003」
 SFに関連する音楽をトークとサウンドで紹介する、午後10時から始まって延々四時間半に及ぶ長時間企画。「子門真人スーパーリスペクト」「東西人形劇対決」「羽田健太郎大復活祭」の三部構成。結局一部と二部にそれぞれ顔を出しました。広い会場を使ってさぞかしにぎやかにカラオケ大会でもやっているんだろうと覗いてみたら、四人のパーソナリティが音楽の合間に真面 目にトークするというなかなか渋い雰囲気で面食らいました。
「子門真人スーパーリスペクト」では、文字通り子門さんの隠れた名作を披露。当時の国鉄のために録音された「鉄腕レールマン」や、フリスピーブームの時に菊地俊輔さん作曲で非売品で出された「ゲッツ! フリスピー」(タイトル違ったかも)などなど、怪作ながら子門節は健在、歴代ヒーロー物ばりに熱唱されるのでした。こうした企画物は、著作権とかのからみでなかなか簡単に市販CDに収めることができないらしく、まことに残念。それにしてもよくこんな30年近い音楽作品を見つけたものだなあ……考えてみれば音楽というのは小説や絵画に比べて非常に残りにくいアートなのだなあ。
「東西人形劇対決」では、最近教育テレビでも再放送されている「サンダーバード」や「ひょっこりひょうたん島」「プリンプリン物語」などの音楽を特集。「サンダーバード」一つとっても、オリジナル版の他に日本独自の歌詞付きバージョン、映画版のエンドタイトルなどそのバリエーションは様々。あらためて全部比較して聴きたくなりました。

●「出渕裕〜ラーゼフォン」
 このコーナーはそもそもプログラムには載っていなかったんだけど、「創作講座」と重なっていて顔を出すことができなかった出渕裕氏主催「SFアニメの舞台裏」の続きの企画だったらしく、たまたま「空想音楽大作戦」の合間に覗いてみたら、「ラーゼフォン」をモニターで放映していたのでちょこっとお邪魔してみました。何しろ映っていたのがどうも観たことのないシーンだったので……。よくよく聞いてみると、新しく発売となったゲームのために、新たに作画された十分程度の小品らしい。道理で……。内容は二人の「久遠」が対話するというもので、目覚めた久遠はそばにいた如月樹に「にいさん……」と語りかけ、ラストに樹が寝入った久遠に「母さん……」とつぶやくという意味深なもの。出渕氏によると、当初はオマケ映像としてギャグ・パロディ物にしようと思いメンバーにアイデアを募ったところ、一人だけ登場人物の一人「久遠」をクローズアップしたシリアスなシナリオを出してきて、それが出渕氏に気に入り、自ら準備していたパロディ路線をやめたのだとか。「なにしろ登場人物が三人しか登場しないので経費を節約できるから」とは出渕氏の弁ですが、他のスタッフによると、別 に声優の数を減らしたからといってそれほど費用が変わる訳ではないらしく、やはりシナリオの内容が良かったということなのでしょう。途中からしか観られなかったのでちょっと気になる。ゲーム機持ってないけど買っちゃおうかしら。(オイオイ……)
 出渕氏の「ラーゼフォン」は、今年のSFセミナーで紹介され思わず全話DVDを揃えてしまった作品。非常に「新世紀エヴァンゲリオン」を意識して作られているように思うけれど、かなり質の高い作品だと思うのでした。

●「韓国まんがまつり」
 「でならひ草子」を売っているディーラーズルームに行って、たまたま目にしたのが「韓国全怪獣怪人大百科」という同人誌。なかなか笑える内容だったので思わず購入、ついでに夜中に上映会があるという情報を聞いてさっそく午前一時から始まる深夜企画「韓国まんがまつり」に参加したのでした。
 お隣り韓国では、今でこそかなりのレベルのオリジナル作品を製作しているものの、80年代前後には日本のアニメを盗用したかなり「笑える」作品を放送していたのだそうだ。キム・チョンギという監督が中心となって「テコンV」「サンダーA」「スペースガンダムV」などの作品を沢山作ったのですが、その中にはかなり「マジンガーZ」「機動戦士ガンダム」などのキャラクターを流用したような物が多かったようです。「宇宙黒騎士」という作品では、主人公の黒騎士はまるっきり「ガンダム」のシャア大佐、兜を脱ぐとアムロの顔で、相棒の女騎士はまるっきりセイラ、悪役の大男は緑色の顔をしたドズル・ザビといったあんばいで、ここまで徹底してメインキャラが流用されているというのも凄い話であります。会場ではわさわざ「ガンダム」のキャラクターの声をそのままアテレコしてみたり(これが全く絶妙といっていいほどぴったり合うのでした……)「スペースガンダムV」では勝手に日本語の歌詞を付けたりして遊んでいました。 「スーパー特急マジンガ7」では、銀河鉄道よろしく列車と合体するヒーローロボットがライディーン似の敵ロボと戦ったり、もうムチャクチャであります。他にも、映像の方は紹介されなかったけれど、「大百科」によれば「海底探検マリンX」では北の艦隊司令官の顔が「あしたのジョー」の丹下段平だったり、「テコンV84」では帝国の支配者が「コブラ」のクリスタルボーイだったりと、思わず笑っちゃうような流用が行われていたようです。他にも実写 版「ドラゴンボール」(なぜか亀仙人の亀くんが一番強い)「北斗の拳」(ケンシロウもラオウもちょっと背が低い)とかもあって、なかなかあなどれないのでした。
 当然笑える物を揃えていたのであって、全部が全部こういうものばっかしという訳ではなかったとは思います。中国や韓国の作画レベルは高く、むしろあまりに業界自体が低賃金のため演出・脚本の分野でやや人不足というのが実態なのだそうです。実際日本のアニメだってハリウッド映画のアイデアを結構流用しているわけで、「スターウオーズ」直後に放映が始まった「ガンダム」のライトセーバーだって、案外向こうの人が見たら悪趣味な流用に見えたんじゃないでしょうか。パロディや盗用は結構無意識にやってしまうところもあるから、創作を志すものは気を付けなくてはいけませんね。 ……ウルトラセブンのパロディなんか書いてる場合じゃないってか?



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