スペインツアー(Madrid,Toledo,Cordoba, Granada,Malaga,Barcelona)

第三日(
7.19.Mon.)「トレド→コルドバ」


 午前九時五十分にホテルを出て、荷物をバスに置き、トレド散策へ。もっとも、肝心のノートを置いてしまったので、メモを取ることはできなかった。結構色々話を聞いたのに殆ど頭に入っていません……。        

 (カテドラル)
 最初にカテドラル(大聖堂)の中を見学。カテドラルは元々椅子のことで、従って大司教座がなければカテドラルとは呼べないのだそうだ。
 1227年から500年近くかけて建てられたもので、基本はゴシック様式。それ以前のロマネスク様式に比べ、建築技術が発達し、大きなステンドグラスをはめ込み、天井を高くすることができるようになりました。もっともルネッサンス期には、これを前時代的なものと蔑視して、ゴート族の様式と呼んだのがゴシック様式の名前の由来なのだそうです。ナルシス・トメのトランスパレンテ(透明天井)は、もともとは作品がよく見えるように建物に窓を付けたものなのですが、いつのまにかその窓と周囲の装飾の方が有名になってしまったもの。その後サクリスティア(聖具室)で、ルカ・ジョルダーノの天井フレスコ画、エル・グレコの「聖衣剥奪」や「十二使徒シリーズ」などを鑑賞。
 その後サント・トメ教会で同じくエル・グレコの代表作「オルガス伯爵の埋葬」を鑑賞。エル・グレコの家なる場所も通 りました。実際にはエル・グレコは埋葬場所すら知られておらず、この家も後世に半ばでっち上げられたものらしい。
  バスでトレドを離れ、午前十二時四十分、レストラン「モンテレイ」で昼食。歩いてバテ気味だったので、ワインの代わりにアルコール度の低いシードルを貰いました。ニッカ・シードルとさほど味は変わらないのが逆に意外でした。ビールも少し飲んでみたのですがやや濃いめの辛口味。レンズ豆のスープに、ポテトフライ付きのポークのフライ。デザートは、ピーチやオレンジなどいろいろな果 物を混ぜたオリジナルのシャーベット。
  (モンテレイ入り口) (レンズ豆のスープ)         

 (フルーツシャーベット)
 デザートを食べていると、唐突に三人の楽隊が乱入。ひとしきり演奏をすると、CDを売りに席までやってきた。小銭をチップとして渡してごまかす。彼らはトゥーナと呼ばれていて、1500年代の衣装を着てあちこちのレストランを回る、大学生のアルバイトみたいなもの。元々は学資をかせぐためにやっていたそうですが、今では集めたお金は飲み代に消えるらしい。
 バスに乗り、ドン・キホーテ街道を進んで、次の目的地コルドバへ。その途中コナスエグラでラ・マンチャの風車小屋に立ち寄りました。スペインの風車はオランダから500年前頃に導入したものとのこと。えらく威勢の良いおじさんが小屋をあけてくれました。見学料1ユーロ。  
   (ラ・マンチャの風車小屋)
 アンダルシア高速道に入り、プエルト・ラピセの「ドン・キホーテの宿」でトイレ休憩。  この辺りはサフランが栽培されています。サフランはクロッカスの一種で、元々はイスラムが持ってきた解毒剤。10月頃紫色の花を咲かせます。またタマネギの生産量 も多いそうで、スペインでは一人当たりの消費量が22kg/年と、日本の二倍以上。
 ヨーロッパ最大のブドウ畑、バルデペーニャスを通る。ラ・マンチャはスペイン、いやヨーロッパ最大のブドウ生産地ですが、イスラムが「乾いた地」と呼んだのが語源だとされているほど乾燥した土地で、冬に雨が降ったらそれから半年は降りません。従ってブドウの樹の背は30~40cmとかなり低く抑えられています。 道路にところどころ黒い牛のシルエットが並んでいますが、これは「オスボールネ」というシェリーを主体としたワインメーカーの看板なのだそうです。元は赤く社名が書かれていましたが、事故のもとだというので今はすべて黒く塗りつぶされているとのこと。社名なくしたら看板の意味ないじゃん、と思ったのですが、マーク自体があまりに有名なのでこれで良いのだそうで……。
 いよいよバスはアンダルシアへ。昔スカンジナビアからヴァンダル族がここを通 ってモロッコまで進出したことから、その名が付いたと言います。ここはオリーブの産地。四国全体が入るくらいの広さでオリーブ畑が広がります。オリーブオイルの世界産出量 200万トンのうち、スペインは60万トン。佐藤氏に言わせると、イタリアのオリーブオイルが有名ですが、実際の生産量 と供給量が合わないのは、ヒマワリ油を混ぜているからとのことで、その点スペインの物は本物。ラベルの下に酸度の表示があり、MAX 1.0以下の物は安心なのだそうだ。オリーブは毎年五月に小さな白い花を咲かせ、緑の実を結び、11月頃収穫、翌年1~2月には黒く色づきます。一本の樹から120kgの実が収穫できるそうです。
 コルドバはフェニキア人の港町として発展しました。フェニキア語でクールタグ、「搾るところ」が語源だそうです。ローマ時代には既に人口50万を有する州で、カエサルも二年間ここに赴任しています。
 午後六時四十五分。昼間のように明るいどころか、こちらではこの時間帯が最も暑いのだそうだ外気温39℃。いやはや、相当な物であります。ローマ橋とカラオラの塔に到着。スペインの国旗とアンダルシアの州旗が並んでてっぺんに立てられています。ここは青池保子「アルカサル〜王城」の舞台。イスラムかぶれの王が兄に殺される話なんだそうだ。残念ながら未読……帰ったらさっそく購入せねば。    
  (ローマ橋を背景にして)
 やっとホテル「コンキスタドール」に到着。スペイン映画「トーク・トゥ・ハート」にも登場するホテルだそうです。夕食はこのホテルの中で。ここでしか飲めないワインがあるというのでさっそく注文、同席になったKさん夫妻と分ける。「MARQUES DE LA SIERRA 2003 BLANCO, MONTILLA-MORILES, ALVEAR」なんかどこかで聞いたような銘柄のような気も…。すっきり系の、どちらかというと淡麗系の味わい。一見ミュスカデのように口当たりが良いのですが、それなりに余韻がある、上品な白ワインでした。冷たいにんにくのスープ(具はおそらくりんごだと思うが…)から始まり、お好みでサラダ・バイキング。メインは白身魚(タラだと思うが…)とアスパラのホワイトソース。デザートはチョココーンの皿に盛られたシャーベット。少量 残ったワインは瓶ごと部屋に持ち帰らせてもらいました。  

 (冷たいニンニクスープ)       (メルルーサ・グリーンアスパラガスソース)

 (シャーベット) (ワインラベル
 十時に再び集合し、夜のローマ橋を散策。橋を渡って振り返ると、見事にライトアップされていて壮観でした。十一時に部屋に戻り、残ったワインを飲んで早々と就寝。

 (夜のローマ橋)


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