スペインツアー(Madrid,Toledo,Cordoba, Granada,Malaga,Barcelona)

第五日(
7.21.Wed.)「グラナダ→マラガ」


 午前9時にグラナダを発ち、コスタ・デル・ソルへ。この辺りに植えられているのはアーモンドの木、そしてザクロ、サトウキビ、そしてチリモーヤ。チリモーヤは南米原産の果 物で、洋梨に似た形だが表面はナイフで削いだような多面体をしているそうです。果 肉はクリーム色で、スプーンですくって食べるとか。残念ながら冬の果物なので今はないそうです。日本でも一部栽培が試されたことがあったようですが、その後どうなったか分からないとのこと。  
  バスからは地中海が見えます。地中海マグロ(黒マグロ)のいけすも。マグロを太らせて日本に売るのだそうで、回転寿司でトロが食べられるようになったのもここのおかげだとか。
 もともとコスタ・デル・ソルは小さな漁村だったそうです。市民戦争の結果、スペインは第二次大戦では中立の立場になるものの、結果 としてはナチスを支援したとして国際的に孤立、外貨を稼ぐために海岸を開発して金持ちを呼び込もうとして今のような観光地になったとか。三十年前には夜に裸で泳いだだけで逮捕されたそうですが、今ではヌーディストビーチまであるとのこと。
 当初先に訪れるはずだったネルハの洞窟が、工事中?とのことで混雑しているので先に白い村フリヒリアーナに。北に2000m級の山があり冷たい風が入ってこないため年中温暖。サトウキビ、そしてその前は絹織物で栄えた土地ですが、どちらもイスラム起源。シュガーの語源となったアスカールはイスラム語。ヨーロッパにはそれまで甘味料は蜂蜜しかありませんでした。今でも糖蜜を売っています。ちょっとなめてみたのですが、溶いた黒飴みたいな味がしました。

 
(フルヒリアーナ)
  続いてバスで移動後ネルハの鍾乳洞へ。ここは1959年に三人の少年たちによって発見されました。発見者の少年たちはその見返りとして月に2万5千ペセタ、当時の日本円で約7万5千円を一生涯支給されたそうです。彼らはその後市の職員となり、今でもここに来て写 真を撮ったりしているとか。洞窟内は22℃に保たれ、まず入り口からすぐのところに遺跡が展示してあります。2万7千年前のナイフ、1万8千年前の墓、1万4千年前の絵…少年たちが発見して驚いて通 報したのは、六千年前の推定年齢十六歳の女性の骨でした。さらに進んでいくと、洞窟内に大きな劇場が……ここでたまに公演が行われるという。さらに奥には広いスペースがあって、ギネスブックにも載っているという巨大な鍾乳石があります。百年に1センチしか成長しない鍾乳石がここまで大きく成長するには80万年近くかかるそうです。地震によって一部崩れていましたが、もしそうでなければさらに巨大化していたと考えられます。ちなみに公開されてはいませんが、この奥にはさらに三倍近いスペースがあり、現在調査中とのことです。  
  (鍾乳洞入口で撮影された写 真)  
  午後二時。フリヒリアーナに戻って昼食。一皿目はパスタスープ。ボンゴレにサフランを加えたような、どこか食べたことのあるような味。ただしパスタは短く切ってあります。二皿目はカジキマグロのグリル。こちらでは二本と逆で、黒マグロよりもカジキマグロの方が高いのだそうです。あっさりした塩味で食べやすかったです。ワインは食事に含まれていましたが、甘口の白でした。「Conde de Caralt Blanco Semidulce 2003」。 デザートは三色アイスクリーム。

 
(パスタスープ)(カジキマグロのステーキ)  

  (三色アイスクリーム)  (白ワイン)
 午後三時、マラガへ。ここはピカソの生誕の地で、昨年十月にオープンしたばかりのピカソ美術館があります。旧ブエナビスタ宮殿を改装したもので、家族・知人たちから貸与された作品224点を所蔵。 十代の頃の母の肖像画、段ボールに描かれた青の時代の「カサヘマスの肖像」、ベッドの木枠に描かれたバラ色の時代の「オリビエ」。最初の妻を描いた1917年の写 実的な作品「マンティージャを着けたオルガ」には、なんと推定100億円の値が付くそうです。オルガとの間にできた息子を描いた「パブロ」は、シンプルだが愛らしい表情が印象的。
 ピカソは次々と愛人を作りましたが、その一連の女性たちが作品に残されています。どれもこれもかなりいびつにデフォルメされていますが…。「緑色のスカーフの女」のモデル、マリー・テレーズとの間にはマヤという娘がいました。ゲルニカの時代の愛人である写 真家ドラマールの、極端にゆがめられた肖像画もあります。間違って緑色に染められてしまったためにそのまま絵に残されてしまったフランソワ・ジローとの間には、娘パロマ(「鳩」を意味する)と息子クラウディア。パロマはその後フランスの化粧品会社を作ったそうです。81歳の時に結婚した二度目の妻ジャクリーヌ・ロックの肖像画は、バックにはスペイン国旗の黄と赤を使い、服の色にはマラガ州旗の緑と紫を使用して、かなり派手な色彩 に仕上がっています。
 その後、修復中のローマ劇場跡の前を通ってバスに乗り、トレモリノスのホテル・メリア・コスタ・デル・ソルへ。  
  ホテルは海岸のすぐそばにあり、水着姿の観光客で賑わっていました。ロビーに着くと水着姿の客がそのまま中に入ってきます。ホテルの部屋からは海岸全体が見渡せました。
       
  二時間ほど休んで、午後八時頃、添乗員の佐藤さん他四名で、海の幸立ち食いの店と、ラ・ボデガという魚介類専門のレストランへ。まだ昼間のように明るい。  
 最初の立ち食いの店は、サン・ミゲル通りをまっすぐ行って突き当たった国道沿いにありました。一見魚屋さん風。奥に飲み物を注文するスペースがありました。佐藤さんおすすめの、鉛筆のように細長い二枚貝のマテ貝の他、エビ、タコ、ムール貝、イワシの酢漬けなどをもらう。マテ貝は確かに美味でした。簡単に塩焼きにしたものにレモンをかけてそのまま食べるだけなのですが、確かに他では味わえないものかも。白ワインはヴィーニャ・ヴェルデ。辛口だがドライですっきり。適度に酸度があるのでシンプルな味付けの海の幸とは合わせやすかったです。  
 二件目は少し戻ってレストラン「ラ・ボデガ」へ。ボデガは酒倉のこと。一階は立ち食いスペース、二階はレストラン。一階が混んでいたので二階に座り、佐藤さんおすすめの小さな貝(シジミ大のやや細長い小さな二枚貝で、舌ですくうようにして身を食べる。)、イワシの塩焼き、タコのパプリカ(後でガイドブックを見ると、ポプ・ガレク:薄切りのゆでダコに、オリーブオイル・塩・パプリカをまぶしたもので、スペイン北部ガリシアの特産品、と紹介されていた。)を注文。ワインは少し変わった物をということで、アンダルシア産のパロミノ(シェリーの品種)を使った白ワインを頼んだが、こちらは酸味が控えめでボディがあり、確かにシェリー独特のどこかもったりとした味のものでした。
  (イワシのフライ)(タコのパプリカ)  

  (イワシの塩焼き)(ノルウェー手長エビ


  (小さな貝)
 途中酒屋に寄り、佐藤さんおすすめのアルフォンソというワイン(カベルネ、シラー、メルロー、テンプラニーリョのブレンド)と、ポルトガルのポート用品種で作った赤ワイン、ダリがデザインしたというブランデーを発見。ダリ美術館へ一緒に行くことになったIさんも購入していた。迷った末、ダリのブランデーを50ユーロで購入。白いボトルは例のごとく歪んでいて、さすがに日本では手に入らないと思ったので。  


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