スペインツアー(Madrid,Toledo,Cordoba, Granada,Malaga,Barcelona)

第七〜八日(
7.23.Fri.〜7.24.Sat)「フィゲラス→バルセロナ→成田」


 予定していたオプショナルツアーとしての「ダリ美術館」は中止になったものの、最終日は自由行動となったので、行きたい人で行こうかということになりました。というわけで、午前七時半にダリ美術館に行くメンバーだけでロビーに集合。Kさん夫妻とIさん親子、私が加わって総勢5名。タクシーを拾ってサンツ駅へ。駅に来てみたものの、切符の買い方がよく分からない。インフォメーションセンターに行っても時刻表をくれるだけ。とりあえず時刻表で八時二十分発の便に乗れば十時半にはフィゲラスに着くことは確認できました。列車の発車するプラットフォームは一番から六番まであり、大きな掲示板に表示されるまでは駅員も分からないらしい。そうこうするうちに時間が近付く……。結局アナウンスを聞いた石倉さんが三番ホームであることを確認して、なんとか乗り込みました。丁度タイミングよく補助椅子付きの五人席を確保。  
 午前 十時半、うつらうつらするうちにフィゲラスへ到着。やや空模様が怪しい。雨具は置いてきてしまっていたので、雨なぞ降らなければ良いけれどと思いつつ下車。特急の停まる比較的大きな駅のはずなのですが、文字通 り田舎町という感じで、改札口もない。自動販売機と自動改札の並ぶ巨大なステーションであるサンツ駅とは対照的。駅に降りると入れ替わりに子供たちの団体さんが入ってきました。
 ダリ美術館は駅からそう遠くないとは聞いていたものの、道順も分からないしということで、駅に待機しているタクシーで行くことにしました。英語が通 じたのはありがたかったのですが、ほんの数分の距離に7ユーロも取られてしまいました。バルセロナからフィゲラスまでの往復運賃が13.2ユーロであることを考えるとあまりにもぼったくり
 街の中に突然赤い壁と卵の並ぶ屋根で作られたダリ美術館が姿を現わす。もっと丘の上の森の中にあるようなイメージだったのでちょっとびっくりでしたが、考えてみれば劇場を改築したのだから街の中にあって当たり前か。卵の屋根の赤い壁の建物は宝石館で、美術館の入り口はさらに奥の方にありました。行ってみると既に長い列ができていて焦る。並んで待つこと三十分ほど。通 りはすべてダリグッズを販売する店で埋め尽くされていました。中に入れたのは十一時半。入館料は宝石館と合わせて9ユーロ。
  中に入るとそのまま入り口は中庭に通じ、例の有名な雨降りキャデラックがあります。誰かが1ユーロ入れると、黒塗りの車の中に雨が降るという仕掛け。中に進むと卵の頭をした上半身の人物像の壁画のある大広間に。20セント入れると体を広げる十字架の人物模型がありました。
  大広間を取り囲むようにして四階建ての建物があり、まずは一階を見学。「ピカソの肖像画」や、1926~28年の初期作品が並びます。素描画や宝石展示があり、二階に進むと、「メイ・ウェスト」の部屋。ここで並んで結構時間を食ってしまいました。意外と子供が喜んで観ていますが、ピカソ美術館では見られなかった光景です。ピカソは画法を極めた画家がある意味頭で考えて描いた「子供っぽい」絵であり、それ故に子供には受けが悪いみたい。これくらい自分でも描けると思ってしまうのでしょう。むしろ大人向けに奔放な想像力だけで絵を描き上げていったある意味無責任な画家ダリの方が、子供の感性には素直に訴えるものを持っているようです。
 三階には見慣れない石でできた人物像の絵画が。もしかしたら別の画家の作品群かも。「PITXOT」と記されたポスターがあったのでそれが画家の名かも知れないなあと思いました。
 一応ミュージアムショップにも立ち寄ったが、迷った揚げ句結局何も買いませんでした。もっとも後から考えると、「偉大なる自涜者」Tシャツや、怪しげなサイン入りワインなど、ちょっと手を出しておくべきだったかな……と。  十二時半、外へ出て宝石館へ。金細工の仕上がり作品と、その作品の元となったデザイン画とが並んで展示されているのがポイント。中でも印象深かったのが、鼓動する心臓をデザインした宝石細工。実際に動いているのだ。おもわずビデオに収めてしまう。    
  (ダリ美術館を背景にして)
 駅まで歩いて戻ると、次のバルセロナ行きは二時一分。駅構内のカフェテリアで、生ハム入りのバケットと生ビール「サンミゲル」を飲んで一休み。列車が来て乗り込むと、早々に居眠り。四時前にはフィゲラスに到着。
 そのままホテルに戻るIさん達と分かれ、Kさん達とカタルーニャ広場近くの総合デパート「EL CORTE INGLES」へ。土産物を物色。佐藤さんお勧めのタベルナ砂漠のオリーブオイルを発見、二本購入。ワインも買わねばなるまいと、リベラ・デル・デュエロのワイン「アリオン」を購入。もっとも、もしかしたら日本でも売っていたかも知れないのですが……。いっそのこと200ユーロ代で買える「ウニコ」を…とも思ったのですが…。マテ貝の缶 詰めも見つけたのでこれもついでに購入。ユーロ札をデザインしたチョコレートは、オランダ産ではあったがこれもまあヨーロッパ旅行みやげということで。  
  一度ホテルに戻り、午後八時に再びKさんペアと待ち合わせて夕食へ。当初カタルーニャ美術館前の噴水を観に行こうという話だったのです
が、やや体調が悪いとのことで、サグラダ・ファミリアの夜景を見て帰ろうということに。Kさんは、夕方訪れたカタルーニャ広場近くのハード・ロック・カフェに行きたいということだったので、最初はそこを訪れたのですが、名前を書いて三十分以上待つとのことだったので、急遽予定を変更、飲食店街が並ぶグラシア通 りを歩いてみることにしました。  
 添乗員の佐藤さんからもらった店舗リストの一番上にあった、ピンチョスの店「TXAPELA」(何て読むのか分からない…)を発見。二十分待ちと言われたので名前を書いて待っていたら、店のマスターから声が掛かり、カウンターの席をあてがわれる。もしかしたら予約したテーブル席とは違うのかしらと思いつつカウンターでピンチョスを楽しむことに。  
 番号の付いた写真入りのメニューを確認しながら、番号を言って注文するというシンプルなシステム。マスターが英語の通 じる人だったので助かりました。もっとも良く見るとメニューには英語版、ドイツ語版の他に日本語版も……最初にそれに気づいていればもっとラクだったのに。カウンターに並ぶ数々のピンチョスは、イメージしていたより大きかったです。爪楊枝は日本の物と同じ…というかそのまんま。私は赤ワイン、ロゼ、白とグラスで三杯頼みながら、スペイン風オムレツトルテイヤ、イベリコ豚の生ハム、カバブ、墨付きイカ、エビ、ツナと次々と注文。それでも三人で32ユーロ。一個が1~1.6ユーロ程度だし、パン付きの物がほとんどなので、一人十個も食べれば十分なのだ。気になっていた本場のピンチョスが味わえたので、最終日の夕食は私的には大満足。  気がつくと十時になっていました。サグラダ・ファミリアまでタクシーで移動。最初に付いた「受難のファサード」は、期待していたほどライトアップされていなかったので失敗かと思ったのですが、反対側に回って「生誕のファサード」に来てみると、見事にライトアップされていて壮観。とりあえず写 真を撮影しましたが、逆光で自分の姿がほとんど写っていないのはある意味仕方がありません。    
  (夜のサグラダ・ファミリアを背景にして)  
  十時半過ぎにホテルに無事帰着。バルセロナの治安は悪い、と聞いてはいたものの、何事もなく過ぎてまずは一安心。


 いよいよ最終日。午前十一時半バルセロナ発の飛行機に。さすがに皆疲れているようで、特に男性陣は三人が腹痛と発熱を訴えていました。ある意味、かなりの強行軍ではありましたが、女性陣は皆元気。  
 午後十三時頃ミラノ到着。二時間弱の空き時間は空港内をぶらぶらと見て回りました。
 午後三時頃、ミラノを発ち成田へ。やや疲れ気味ということもあり、成田までの長旅をうつらうつらと寝ているのか起きているのか分からない状態で過ごしました。  
 翌朝の午前十時頃、無事成田到着。荷物受け取り口で順次スーツケースを受け取り解散。睡眠不足だったこともあり、挨拶もそこそこにその場を立ち去り帰宅。正午近くに無事自宅に到着。そのまま寝るわけにもいかず、洗濯をしながらコミックマーケット用の原稿描きにとりかかったのでありました。購入した「ゲルニカ」の大判ポスターと「悦楽の園」のポスターはしっかり部屋に飾っています。

           


→第1日「マドリード」に戻る


◆トップページに戻る。
◆「宇都宮斉作品集紹介」のコーナーへ。
◆「宇都宮斉プロフィール」のコーナーへ。
◆「一杯のお酒でくつろごう」のコーナーへ。
◆「漫画・映画・小説・その他もろもろ」のコーナーへ戻る。
◆「オリジナル・イラスト」のコーナーへ。
◆「短編小説」のコーナーへ。