「4月の独り言」


4月9日(土)

 浅草の伝法院で行われる恒例の「雅の会〜投扇興の集い」に参加。天気も良く、絶好の花見日和。
 一昨年の四月が初参加で、昨年の四月では団体戦に参加、K先生率いる「隼(ハヤブサ)扇投連」の五人のメンバーの一人になり、見事に準優勝したのでありました。
 これはもう、今年は優勝するしかない!
 団体戦の前に個人戦があり、空想小説ワークショップのメンバーであるAさん、Tさん、Iさん、S谷さん、S藤さんの五名が参加。特に初参加のS藤氏は、前週の練習会(平日のため参加できず)で「澪標(みおつくし)」という、投げた扇が見事に枕の上に立つ大技をモノにしたというので期待大。彼の方が上手ければ「隼扇投連」のメンバーで入れ替えも考えてる、とK先生に脅されたりして。
 実際の対戦では場所によっては風が吹いたりして思うように投げられないもの。五人のうちTさんだけが2回戦まで進んだのですが、この2回戦目の相手はなかなかの強者で、決勝進出まで行ってしまうほどの実力の持ち主。相手次第では3回目まで行けたと思うのに、残念でしたTさん!
 さて、庭園の枝垂れ桜など眺めながらお茶など飲んでくつろいだりしているうちに、団体戦へ。
 なにしろこっちは昨年の準優勝チームだ。初戦はゆっくり構えていれば……と思っていたら、いきなり相手は個人戦優勝者が何人か集まっている最強チーム。大技を連発される中、わが「隼扇投連」はなかなか追い付くことができない。ぐぐぐ……。
 ついに自分の番が……大ワザが欲しい、なんとか挽回せねばと焦ると、人間失敗するものであります。
 
  あれよ……! あれよ……!! あれよ……!!! というまに3回連続空振りが続いたりして。
 団体戦では一人につき五回までしか投げられません。あと二回しかチャンスが……ここまでくると無心になるしか……。
 と思って投げたら、4投目は何か分からんけどどうやらそれなりの形になったみたい。
 「賢木(さかき) 八点!」
 
 投げた本人にもこれがどういう型なのか良く分からないのですが、普通に的を落とす(「花散里」一点)よりはかなりの高得点。う、うれしい!
 五投目は「花散里」で、結局九点をゲット。挽回というわけにはいかなかったのですが何とか面 目を保ちました。
 これで除名されずに済む?
 しかし相手チームの五人目は、別名「ひらひら君」と呼ばれる歴戦の戦士。扇を投げる前にひらりひらりと上下にゆっくりと振るのが特徴。これによって投げる前にうまくバランスを取るらしいのですが、この人がまさに百発百中、連続でワザを決めて、結局相手チームは五十点近くを叩きだし、わが「隼(ハヤブサ)扇投連」は惜しくも初戦敗退。な、なんたること……。
 K先生よほど悔しかったのか、結局決勝戦を見ないまま「お腹が空いたから食べに行こう」ということになり、そのまま伝法院を後にしたのでした。
 その後は昨年四月にも立ち寄った、浅草の牛鍋屋「米久」に。勝っても負けてもお肉を食べればしあわせ。
 早めに食事をしてしまったので、その後は延々と隅田川沿いに浅草の夜桜を見て回りました。最後はK先生夫妻と神谷バーで電気ブランで締めくくり、次回の大会ではちゃんと練習をして挑もうと決意を新たにしたのでした。

4月16日(土)

 六本木の「バール・デル・ソル」で甲州ワインの試飲会。
 「ワイン王国」第26号タイアップ企画で、甲州ワイン20社比較試飲を行うもの。14:30開始に合わせてお店に到着。
 結局それから17時まで、延々と試飲にいそしみました。甲州ワインは一応20種類を制覇。ほのかな甘味が心地よい「勝沼醸造 アルガブランカ・イセハラ」、スタンダードな「金井醸造所 キャネー」、ドイツワインのような味わいで、ラベルが恰好良い「シャトレーゼ勝沼ワイナリー」、強いミネラル感が特徴的な「キュヴェ三澤 プライベートリザーブ」、文字通 りピノ・グリ的な「シャトーメルシャン グリ・ド・グリ」などなど。特に印象的だったのが甲州の古酒。「シャトーマルス 甲州十年古酒」は若干の甘味がある複雑な味わいで、酸味のある種類と甘い完熟葡萄とのブレンド。一方の「マンズワイン ソラリス古酒甲州」は、鮮やかな黄金色が印象的な、より甘味のあるタイプで、この二つは是非とも揃えたいと思ったのでした。ネットなら入手できるとのことで、さっそく探してみることにしました。
 赤ワインも色々と揃えてあったのですが、メルローにしろマスカットベリーAにしろ、全体的に青っぽさのあるのが気になりました。その中で面 白いと思ったのが、「ココ・ファーム・ワイナリー タナー」。フランスの南西地方で使われる、色調も味も濃いややマイナーな品種をあえて選んでいるのがいいですね。濃厚なんだけど意外としっかりしていて美味しいのでした。
 二時間半飲みっぱなしの後、しばらく食事をして20時頃再び「バール・デル・ソル」へ。試飲会の打ち上げに参加。
 ここでも色々とワインを頂きました。様々なワイン関係の著作で知られる山本博先生が参加され、国産ワインだけではなく先生持参のフランスワインも交えての文字通 り比較試飲。特に印象に残ったのが、「金井醸造所 シヤトー・キャネー」の72年物。この30年以上の熟成を経た甲州ワインは、全く市販されていないこの醸造所のオリジナル品で、ラベルも自宅でプリントアウトして作ったものだそうです。たまたま保管していたものだそうですが、フレッシュながら凝縮感のある味わいは他に比較するものがないまったく独特のスタイル。甲州ワインあなどりがたし、とあらためて思った次第であります。  

4月17日(日)

 前日さすがに飲みすぎて昼過ぎまで起き上がれない状態。ちなみに試飲会に参加したワインスカラチーム2000のメンバーの殆どは、この日は朝七時から甲州ワイナリー巡りをしているはず。うーんかなわん。
 昼になってやっと起き上がり、購入したばかりの「デス・ノート」(大場つぐみ/小畑健)1〜6巻を読んでから、再び六本木へ。
 2月に行った「ジョエル・ロブション」の姉妹店、「ラトリエ・ド・ロブション」 でささやかな食事会。
 カウンターで調理作業を眺めながらフレンチが楽しめるちょっと変わった趣向のお店。黒でカラーリングされているので、色とりどりの食材がよりカラフルに見えます。
 TさんSさんからは投扇興用扇子一式のプレゼントよーしこれで練習して、次回はさらなる大ワザを狙うぞ!

4月24日(日)

 自宅でワイン会。メンバーは殆どが空想小説ワークショップの常連さん方。SF大会企画「マッド・サイエンティストカフェ」の準備会と称して「暗黒星雲カクテルを作ろう!」とか言ってみたものの、結局当日まで何の準備もせずでした。良く考えたらカクテルのレシピなんてそんなに知らないしな〜。
 この日空けたワインは、「ジャック・セロス」(木樽発酵の濃厚な口当たりのシャンパーニュ)「コレット・ゲヴルツトラミネール02年」(薔薇の香りがするというスペインの白ワイン)「ソラリス千曲川メルロー00年」(SFつながりということで、「惑星ソラリス」にひっかけて。国産の赤ワイン)「ルシア01年」(濃厚なメルロー主体のボルドー・サンテミリオンの赤ワイン) といったところ。ハンモ・イベリコとクラテッロの比較試食、魚介のクレープ巻き・アメリケンソース、ラムのロースト・グリーンソースなどを用意。
 「暗黒星雲カクテル」用に、黒い色をしたウオッカ「ブラヴォド・ウオッカ」や、青いキュラソー「ボルス・ブルー」黒ビールなどを用意して色々と適当に混ぜ合わせたものの、一番人気はシャンパーニュにボルス・ブルーを混ぜたもの。後で知ったんですが、ちゃんと「シャンパン・ブルー」という名前のあるカクテルだったみたい。うーん、いまいちフツーだな〜。どうしよう。

4月26日(火)

 CSW資格試験の合格通知が届く。やったぜ!
 
落ちると落ち込むのである意味レベルを下げたようなもんですが、いざ受かってみるとダメもとでいいからやっぱりCWEを受けとけば良かったかなとか思ってしまう。筆記試験だけなら一応CWE合格ラインには達していたし、テイスティングで落ちてもそれだけ受け直すことができたわけだし。というわけで取りあえずは来年チャレンジ。
 だからというわけでもありませんが、合格祝いに職場の仲間と四人で銀座の「ぶしょん」へ。
 お店の壁は全部殆どガラス張りで、数多くのワインが並べられたセラーに囲まれながらワインを楽しむという作り。ワインはコースに組み込まれていて、今回オーダーした「オーパス・ワン」のコースでは……
  (アペリティフ)シャンパーニュ「マム」 、デュポネ
  (ワイン)   '02シャブリ(ルイ・ミッシェル) 、'02シャンボール・ミュジニー(ミッシェル・グロ) 、'98オーパス・ワン
  (ディジェスティフ)シェリー・マルケス・デル・レアル・テソーロ・クリーム  ウィスキー・ブッカーズ

 このラインナップで、しっかりした食事付きで48,000円。四人で楽しむには十分な量 ……というより、はっきり言って安いです。酒だけでもこの値段では全部そろわないと思うのに、食事はカプレーゼや生ハムに始まり、メインはヒレステーキというかなり豪華なもの。うーん凄い。
 ミッシェル・グロのシャンボール・ミュジニーはピノ・ノワールらしいデリケートで複雑味のあるベリー香があり、オーパス・ワンはデカンテーションによってかなりまろやかで厚みのある風味が楽しめるようになっていました。別 のビンテージで何回かは飲んでいるはずなんですが、甘味のある味わいが印象的で今までの中では一番美味しかったような気がします。締めのブッカーズもかなり熟成が進んだもので、どこかブランデーにも似た深い味わいを感じました。相当酔っ払ってしまったので、結構家に辿り着くまでしんどかったです。
 ここのお店ではテイスティングコース・プログラムもあるそうで、思わず参加してみようかと思ってしまいました。フリーパス購入しようかしら(こうしてまた財布から万札が消えていく……)

 


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