ワインツアーレポート〜イタリア名醸地を訪ねる(Sicilia, Firenze, Milano)

第五日(1/15.Wed.)「トスカーナ、トゥア・リタとテリッツィオ」



 前日夕食を取ったところと同じ場所で朝食を取った後、ホテルをチェックアウトし、そのままバスで次のワイナリー「TUA RITA」へ。

TUA RITA

 午前十時に「TUA RITA」に到着。ビルジリオ・ビスティとリタ・トゥーアの夫妻が起こしたとても若いワイナリー。1984年にこの地を購入し、1992年からワインを作り始めたのだそうです。ワイナリー自体は今改装中で、一部しか見てもらえないし、テイスティングも屋外で行うとのこと。

 ワイナリーのすぐそばに畑が広がっていました。樹齢の高い木ばかりの6haの土地に、1ha当り8000本と樹は密集していて、一本の樹からは700〜800gのブドウが採れます。ここは海岸から近いため、海から冷たい風が吹き、昼も涼しい風が入ってくるのでむしろ気候的には安定しているそうだ。一つの畑でも土壌は異なり、ワイナリーの入り口から畑に向かって左側が石灰質土壌、右側が沖積世の砂礫土壌となっていて、それによりブドウの根の深さも異なります。
 タンクのある室内へと移動。タンクは表面積の広い割と幅のあるステンレスタンクを使用。結果 として場所は取るものの、液面に浮かぶ果皮の層が薄いので、キレイな成分が抽出できるそうです。タンクは二重のジャケット状になっていて、内側に満たされる冷却水によって発酵液が包まれる形となります。一方でタンク下部に温度調節機があるので二重に温度を調節できる仕掛け。タンクの上部に開口部があり、パンチダウンはあくまで手作業。

 ここでワイナリーの名前の由来となったお母さんのリタ・トゥアさんが登場。
 樽移動用の大きなエレベーターでセラーへと移動。セラーの中は完全に密閉状態で音の反響も物凄い。温度と湿度を完全に管理しています。その時の温度は17.4度。セラーの外側も冷却水が通 っているそうで、規模は小さいけれど理想的なセラーです。今は乳酸発酵中なので、床を温水で少し温めて発酵を促しているそうです。
 樽熟期間は「PERLATO」で一年、他のものは15ヶ月。メルロー、カベルネ、サンジョベーゼを栽培していますが、メルローが八月収穫であるのに対し、サンジョベーゼは熟すのが遅い。糖度は比較的早く上がるが、他の成分がついてこないので、イタリア原産のサンジヨベーゼの方がむしろ扱いは難しいとのことでした。樽は全部で125本、ラベルを描いた画家がセラーの壁画も描いています。
 ここでテイスティング。ワイナリーで作られる銘柄は四種類だが、パーカーが満点を付けたメルロー100%の「REDIGAFFI」は売り切れで残念ながら飲めません。他の三種類を試飲。
・ROSSO DEL NOTRI 2001(IGT) 約8ユーロ
 サンジョベーゼ80%+カベルネ・メルロー。これは樽熟はさせていない。プラムの香り。酸をやや感じる。いかにもイタリアワインらしい果 実香。明るい赤紫で色はきれい。比較的酸もしっかりしている。
・PERLATO DEL BOSCO 2000 (IGT パーカー90点)約20ユーロ。
 サンジョベーゼ100%。「PERLATO」はウズラの目の色のこと。少し赤いピンク色を指すらしい。香りは華やか。少しインク的な重い香り。苦味はしっかり感じる。酸を感じるところはいかにもサンジョベーゼ的。しかしYさんに指摘されてあらためて味わってみるとピノ・ノワールにも非常に良く似ている。面 白いサンジョベーゼである。
・GIUSTO DI NOTRI 2000(パーカー95点)約45ユーロ。
 カベルネ・ソーヴィニヨン65%+カベルネ・フラン5%+メルロー30%。この比率は年によって変わり、2001年ではカベルネ・フラン10%、メルロー25%だった。「ノトリ」はこの地区の名前。青っぽいカベルネでボディもある。まだ開いてはいないという印象。苦味とコクはしっかりとある。ちなみに、ベストは99年とのこと。

 パーカー得点がかならず言及されるのは御愛嬌。イタリアではワインの評価は「トレビケーレ」によるのだが、パーカー得点の方がマーケット受けするようです。
 飲むことのできなかった「REDIGAFFI」の特大ポスターをお土産に、ワイナリーを後にしました。
 
CASTELLO DEL TERRICCIO

 午後三時四十分、「CASTELLO DEL TERRICCIO」へ。ここの敷地は1700ha ですが、800haは森のまま。ブドウの他に小麦やオリーブなど、土地ごとに合った作物を栽培しているそうです。到着してすぐに車で畑を案内してくれるとのことで、三台の車に分かれて広大な畑を回ることになりましたが、私の乗った車は畑の責任者のパオリさんが運転。なにしろイタリア語以外は全く分からないとのことなので焦る。あっちはこう、こっちはこうと一所懸命説明してくれているようなのですがさっぱり分からない。でもかろうじてブドウの品種名位 は聞き取れました。海へ向けて真っ直ぐに伸びた道に沿って、手前からメルロー、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴイニヨン、サンジョベーゼ、シャルドネ……とフランス産の品種が延々と続きます。道にはユーカリが植えられており、このミントのような香りがブドウに独特の芳香を与えるのだそうです。またシャルドネやカベルネが植えられている場所は土壌にミネラルが多く含まれているそうです。ミネラルの多い赤っぽい土壌は「サシカイア」と同じタイプのもので、このワイナリーのトップブランドである「ルピカイア」にその特徴がよく表われているとのこと。海に太陽光が反射するので、山の向こうに比べて日照条件が良いそうです。
 さらに畑を回り続ける。プティ・ヴェルドやシラー、ムールベードルにタナと、南フランスの品種の名前まで飛び出してくる始末。いったいどれだけの品種を揃えているのやら。

 建物に戻り、セラーを見学。2001年のメルローが収められた樽が置かれていました。各品種ごとにべつべつの樽で発酵が行われ、その後ブレンド。「ルピカイア」には新樽を、「タッシナイア」はその後の樽を使用。
 さらに奥の部屋へ通され、いよいよお楽しみのテイスティング。
・Rondinaia 2001
 ロンディナイアはシャルドネ100%。丘の一つの名前に由来する。92年から作られているが、最初はシャルドネ100%ではなかったという。淡く少し緑がかった黄色で、フレッシュな果 実香が感じられるが樽香はない。酸が優しく、柔らかい印象。収量は制限されていて、それ故にブドウに力があるという。9月の10日間で収穫されたブドウは酸化防止のため0℃まで下げられ、それから破砕される。乳酸発酵50%、2001年物は2002年の4月にボトリングされた。フィルター濾過はなくただ澱引きしただけ。
・Tassinaia 2000
 カベルネ・ソーヴィニヨン、サンジョベーゼ、メルローがほぼ1:1:1の割合。もともとは自分たちが飲むために作っていたワイン。赤紫色で、キレイな赤インキのような色調。香りにもプラムの上にインキっぽい匂いあり。グラスを傾けるとグラデーションは柔らかで、色調と香りはどことなくメルローを思わせる。しかし説明によれば、ルピカイアと同じカベルネを使用しているので、香りにも同じニュアンスがあるという。シャルドネと同じ頃にメルローが収穫され、次にカベルネ、その次にサンジョベーゼの順。樽で14ヶ月寝かせた後にブレンドされ、ボトリング後六ヶ月寝かされる。
 ここでオーナーが車椅子で登場。ルピカイアの試飲に付き合うとのこと。
・Lupicaia 2000
 カベルネ・ソーヴィニヨン90%+メルロー10%。赤紫がさらに濃い。確かに言われる通 りユーカリとバルサムのようなどことなく青い香りがする。コクとボディがあり、後にかすかに甘味が残る。タンニンも多い印象。前日の「サシカイア99年」よりも濃いように思った。93年が最初のビンテージだが、非常に高い評価を受けたという。フランスのアリエール産の樽で18ヶ月寝かせる。
 
 さて、予定よりもじっくりと見学させて頂いたお陰で、ホテルに戻ってから正装して予約しているレストランに行こうとすると、八時の約束から一時間も遅れてしまうことが判明。急遽ホテルでのチェックインを後回しにし、そのままの格好で直接レストランへ向かうことに。畑を歩いた後だから当然靴とか汚れているのですが、電話して確認したところそのままで結構だとのことなので……(おいおい……) 。
 一応予定通り午後八時に「RISTORANTE la Tenda Rossa」に到着。
 とりあえず三つのテーブルに分かれ、私はおなじみのチーム2000のメンバー五人のテーブルに。ワインを選ぶことになったので、白はフリウリの「SCHIOPRTTO Collio "pardes" Tocai Friulano 1999」、赤はオーソドックスではあるが「Bricco Rocche Barolo 1988」をセレクト。
 メニューは、一皿目がクリームチーズをパイで包んだもの。オレンジ風味のソースが特徴的。ここでフラッシュをたいて写 真を撮ってしまったので注意を受けました。そこでフラッシュ・オフで撮影することにしたのですが、後で現像してみるとかなりボケボケの状態。皿がテーブルに並べられるたびに、常に蓋がされていて、合図と同時にその蓋が一斉に開けられる、というパフォーマンスが楽しいです。二皿目はエビの身入りスープ。三皿目と四皿目にパスタが来て、五皿目にメインが来たときには既に満腹状態。いつもならフルコースでへこたれることはないのですが、体調が悪いせいかどうも思うように食が進まない。か、哀しい。珍しいかと思ってメインに子牛のレバーを選んだのも少々失敗でした。文字通 り赤身を帯びたこってりした肉質で、隣の人から分けてもらったステーキに比べて、ずっと胃にもたれそうな内臓の塊が二つ。日本ではなかなか手に入らないものだけに心残りだったのですが少し残してしまいました。悔しいなあ。六皿目にデザート。ザバイオンソース付きの菓子とクレームブリュレが交互に配られる。私の方に回ってきたのは前者の方でした。その後にカプチーノとプティ・フール。
 デザートワインはアンティノリの貴腐ワイン「MUFFATO Castello della Sala」
 さすがにこの場でラベル剥がしをするのもなんだろうと、お店にラベルの持ち帰りを頼んだのですが、バローロはきれいに剥がれたものの白の方はうまくいかなかったというので、またもや瓶ごとホテルにお持ち帰り。ラベルはボトルを一周するほど横長なので、そのままではシールに転写 できない。仕方なく二枚に分けて剥がしました。

 「Bricco Rocche Barolo 1988」バローロもここまで来るとピノ・ノワールのような趣になります。

 「SCHIOPRTTO Collio "pardes" Tocai Friulano 1999」二枚に分かれたラベルをパソコン上で繋げて一枚にしました。


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