ワインツアーレポート〜イタリア名醸地を訪ねる(Sicilia, Firenze, Milano)

第七日(1/17.Fri.)「エミリア・ロマーニャ〜感動のラ・ストッパ〜ミラノ着」

 寝ている間に汗をかいたせいか、起きるとひどく肌が冷たく震えが来る……。幸い平熱だけれど放っておくとまた上がりそう……。
 トラブルのために八時出発のところ一時間遅れでバスはフィレンツェを離れミラノへ。途中エミリア・ロマーニャの生産者「LA STOPPA」を訪問。

LA STOPPA

 12時40分、山の上の霧が立ちこめた畑に到着。バスの中では薬のためかまた汗ばんでいたのでさすがに冷え込む。周囲は雪景色。ここはエミリア・ロマーニャ地方でも一番北に位 置するところ。
 オーナーのエレンさんがお出迎え。約束の時間を過ぎているにも関わらず笑顔で招き入れてくれました。
 まずは倉庫にてワイナリーの説明。エミリア・ロマーニャではD.O.C.G.のランブルスコが有名ですが、ここでは作っていないとのこと。マルヴァジーア、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、バルベーラ、ボナルダといつたブドウが栽培されています。品種的にはピエモンテと共通 しているそうです。ここは19世紀末に既に農園があり、1973年にエレンさんの家族がここを購入。150haの土地を兄妹で分け、お兄さんは100haの土地で牛を飼っているとのこと。エレンさんの受け継いだ敷地52haのうち30haがブドウ畑、残りの22haは森のまま。ワインはバルベーラ種で「マキオーナ」を、カベルネで長熟タイプの「ストッパ」を作っています。
 畑は手作業。実が色づく頃房を落とし、農薬は一切使わない。
 発酵の時、二酸化硫黄は使用せず、野生酵母のみで発酵を行い、瓶詰め時にフィルターは使用せず。赤のスパークリングのみ二酸化硫黄を加えるのですが、これは地元でのみ売っているそうです。殺虫剤は使用しないけれど、硫酸銅散布だけは行うとのこと。
 畑では色々な品種の栽培を試したけれど、その結果シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールは栽培を諦めたそうです。
 倉庫から階段でセラーへと移動。その階段の入り口近くに昔のボトルが飾ってありました。手書き風に「ボルドー」などと書かれています。当時はあまり規制がうるさくなかったのでボルドースタイルのワインはそのまま「ボルドー」と書いていたのだそうで、う〜んのどかというか……。

 充填後三年は寝かせるので、製造から販売までの期間は長くなります。フランス風のバリック樽でバルベーラとストッパを、スロベニア製のイタリア風大樽でイタリアタイプのワインを作っています。樽材は基本的にはフランス産で、イタリアの樽メーカーのものもあるそうです。

 発酵樽も木製のものを使用しています。オーク製のものとアカシア製のものが大小一つずつ。アカシア製のものの影響については、今年初めて使うのでまだ判断できないそうですが、材質がきめ細かいので酸素の透過率が低くフルーティさが保てるはずだとのこと。ワインにナチュラルさを保たせるため、樽内は焼かずに使用。ちなみにこの発酵樽は表面 が非常につやつやしています。なんでも樽メーカーが勝手に外観を考慮してコーティングしてしまったとのこと。エレンさんにとってはあまり望ましくなかったようです。ワインは11月から翌年の11月まで一年間樽に置かれ、12月〜1月の間にボトリング。
 2002年は洪水があり、収穫は少なかったので、いつもは「バルベーラ・デラ・ストッパ」「マキオーナ」「ストッパ」の三銘柄を作っているのですが、2002年は「バルベーラ・デラ・ストッパ」は作らないそうです。

 デザートワイン、「ヴィーノ・パッシート」も作っています。樽はこの寒い中屋外に置かれていました。マルヴァジーア種を使用しており、糖度は30〜40度にまで上がります。屋外に置いておくことにより、発酵はゆっくりと進み、糖度がなくなりきらないうちに発酵も終了してしまうそうです。
 マルヴァジーアはトスカーナのヴィン・サントでも使われますね、とI先生が言うと、日本語だったにも関わらず品種に関する話でピンと来たのか、エレンさんはその場で反論。トスカーナのマルヴァジーアとここのマルヴァジーアは全く別 の物である、白ブドウはギリシャから来たが、昔はギリシャからきた物は皆マルヴァジーアと呼ばれていたのでごっちゃになっているのだ、と力説。
 セラーの見学を終え、お屋敷の居間に通されました。ワインとグラスが既に準備されていました。何でもNHKのイタリア語会話に出演しているジローラモ・パンツェッタもここへ来たという。自分は日本でも有名なんだと言っていたそうだが、南部のナポリの出身なので彼は単純な男なのだ、というのがエレンさんの評価。ちなみに資料を送ったけれど、約束の著書をまだ送ってくれていないそうです。
 さて、ここでテイスティングに。昼食を他で済ませるというI先生に対し、エレンさんはぜひワイナリーで食事を、と言ってゆずらなかったとのこと。パンと生ハムが用意され、他にもリジョンのサラミに豚のコッパ、ローズマリー風味のマフィンにズッキーニのスルティッドケーキ(これはアルザスのキッシュのようなもの)などが並べられました。後からリコッタチーズ入りのパスタも用意されるという。
 今までの経験から、結構イタリアの生ハムは塩味がしっかりしているし、食事をしてしまうと舌が効かなくなるような気がしたので、思わず「試飲を先にした方が良いのではないですか」と言ってしまいました。しかしエレンさんとしては、もともとボトルのワインの香りが開くのには時間がかかるので、食事と合わせながらゆっくりと味わって欲しいとのこと。

・BARBERA della STOPPA(D.O.C.) 1999
 日本では「ストッパ」しか入ってきておらず、バルベーラ種の銘柄は入っていないそうだ。色は赤紫で柔らかいグラデーション。色調は暗いがややグラスの底がかすかに見える。果 実香にインクのようなニュアンスとプラムやベリーの風味が加わる。酸味がやや感じられ、苦味は低め。このワインについてはフィルターは使っているが、今後は使用しないそうだ。
・MACCHIONA(Vino da Tavola) 1998
 品種はバルベーラとボナルダの50:50のブレンド。ボナルダという品種は初めて聞く。ソムリエ教本にも載っていない。ちょっと残糖があり、やや微発泡。すこし酸味が強くぴりぴりとする。シンプルなトマトソースパスタに合いそうである。1967年にブットーニオD.O.C.が制定され、このワインはそのD.O.C.を名乗ることもできた。しかしランブルスコのようにスパークリングとして扱われることが多いので、あえてVino da Tavolaを名乗った。1999年からはI.G.T.となる。
 98年は良いビンテージ。91年と、97年以降の年はいずれも良いとのこと。今飲んですばらしいのは90年と91年。やはり10年は寝かせて欲しいそうです。
 ここでは樽熟一年、瓶熟二年を経て出荷しています。通常イタリアでは人気のある年のものはすぐ出荷されてしまうけれど、もたないおそれもあるわけで……。「今、95年や96年の自分のワインが店頭に置かれているが、インポーターがちゃんと寝かせてくれているので美味しい。急いで商売はしたくない。」とはエレンさんの弁。
 ロバート・パーカーの影響力は大きいけれど、「彼はエミリア・ロマーニャのワインなんか飲んでいないでしょう」とも言われました。実際後でパーカーの本を開いてみたけれど、この地方のワインに関する記載はありませんでした。でもエレンさんに言わせると、ボローニャやロマーノでも良いワインを作っていし、トスカーナよりも良いサンジョベーゼを作っている所もある、とのこと。ストッパはカベルネ主体にメルローを混ぜており、まず海外で売れたけれど、一方バルベーラやマキオーナは国内での人気が高い。両親がここの土地を買ったのは、気候の状況から長期熟成の可能なワインが作れると判断したからで、まず最初にストッパを売り出し、海外で評価を受けたことにより逆に地元でも売れるようになったそうです。

 バルベーラの生産者価格は7ユーロ、これが店頭で12ユーロとなります。マキオーナは14〜16ユーロ、ストッパは18〜20ユーロ。品質を考えるとお買い得のワインです。日本ではなかなか手に入らないようですが。
・STOPPA(D.O.C.) 1999
 99年は昨年の10月に販売を開始したけれど、2000年も軽い仕上りだったので一緒に売るそうです。エレンさんによると1999年物の方がストッパらしさがあるとのこと。
 カベルネ・ソーヴィニヨンと表記されていますが、品種の配合はカベルネが55%、メルローが30%、残り15%は樹齢60年以上の古い区画で、そのうち10%分はカルメネールだったけれど、残り5%の品種は米国の学者に調べてもらったにも関わらず分からないままだそうです。
 色はやはり濃い。グラデーションは柔らかく、香りは品の良いカベルネで、香りに旨味を感じました。
 さて、赤ワインの試飲に合わせてパスタの登場。餃子のようにホウレンソウとリコッタチーズを中に包んだラビオリタイプのパスタ。非常にクリーミーでしかもしつこくない。柔らかいカベルネには肉よりもむしろ合うと言われましたが、確かにその通 り。意外だけれど絶妙な組み合わせ。パスタ自体はアルデンテというよりはむしろ柔らかいくらいなのですが、非常に口当たりが良くまろやか。今まではパスタといえばもっぱら麺タイプのものばかりで、あまりラビオリタイプの物は好きではなかったのですが、このパスタだけは「ぜひまた食べたい!」と思わせる魅力的なものでした。ちなみにパスタ自体は自家製ではなく近くの専門店から購入しているとのことですが、おそらくは生タイプの非常に質の良いものに違いありません。肉入りのものはトルテリーニ・ピアツェンツィーニ、肉ではなくズッキーニやカボチャなどの野菜が入っているものはトルテーリ・ビアツェンツィーニというのだそうです。

 ここで比較のために2000年のSTOPPAも出されました。2000年の方が気候は暑かったらしく、アルコール度は1%近く高いそうです。こちらの方がモダンなスタイルで受けは良いようですが、エレンさん自身は99年の方が好きだそうです。なるほど飲んでみるとこちらの方が厚みがありブドウっぽさも強いように思われます。しかし洗練さという点では99年の方に軍配が上がりそう。
 何でも濃厚なほどありがたがられ、それが売れればいいという考えにエレンさんは批判的なようです。パーカーが濃縮度を感じるような物を選ぶというのなら、逆浸透膜等を使って果 汁やワインを濃縮する技術は既にあるわけで……。エレンさんいわく「But, wine is liquid!」。ガロは米国のワイン市場の1/3を押さえる世界一のワインメーカーですが、アメリカは量 が売れれば良い世界、ワインをコーラと同じに扱っている、云々。他のメジャーなワイナリーがパーカー得点について得々と説明していたのとはきわめて対照的でした。
 最後にデザート。ブルーベリーのケーキとアイスクリーム。アイスクリームはまるで大きなカマボコのようにてんこ盛り。はっきり言って全部残さず平らげたい気分ではありましたが、量 が半端でない上に、今夜は最後のディナーをミラノで楽しむことになっているので、あまり欲張れない……。それでもしっかり二つとも頂いたけれど。
 デザートワインにパッシートが出されました。
・VIGNA del VOLTA 2000
 アルコール14%。マルヴァジーア80%+モスカート・ピエモンテ20%。琥珀色で、香りは干し柿やイチジクのような濃密な完熟果 実の甘い香り。アイスワインの様なフルーティな甘さ。収穫後、1週間から十日ほど日干し、上から重しで押すバスケットプレス方式で搾る。一日澱が下るのを待って上澄みを発酵させるのだという。日本に入っているのは「ストッパ」だけなので、もちろんこのパッシートも未入荷。記念に空瓶にサインをしてもらってきました。VOLTAは「時」という意味と、あと「小作人」の意味があるそうです。もともと収穫された畑の名が「Vigna del Volta」だったので、そこから発想して小作人のデフォルメされた版画のような絵がラベルとなっています。

 「VIGNA del VOLTA 2000」エレンさんの直筆サイン入り。

 エレンさんのおじいさんは印刷会社をやっていました。お父さんが土地を買ってワイン作りを始めたのですが、11年前にお亡くなりに。お姉さんは印刷会社を引き取り、お兄さんはお酒が飲めないので牛を飼い、エレンさんは肉を食べないのでワインをやっている……従って相続問題がこじれることはなかったそうです。
 最後に暖炉を囲んで記念写真。随行のMさんと運転手のパオロさんが代わる代わる皆のカメラを写 していきました。
 ←暖炉の前で、エレンさんを囲んで。

 今回のツアーでは「サシカイア」をはじめとしてイタリアの名のあるワイナリーを幾つか回ったのですが、ある意味一番印象に残ったのがこの「ラ・ストッパ」だったと思います。日本には殆ど入って来ていないし、まだ評価も確立しているとはいえないし、試飲した限りでも正直な話数多くの珠玉 のワイナリーの中でどれくらいのレベルにあるのか判断がつきません。それはある意味、食事も込みの試飲だったからというのもあるのでしょうが、それだけに単なる試飲会にとどまらない、非常に充実した思い出として残るような気がします。他の場所では得難い、単なるワインの味以上のものを受け取ったと言えるでしょう。

 ミラノのホテル「ベスト・ウェスタン・ガレス」に着いたのは午後五時過ぎくらい。五時四十五分に再び集合して食料品店ペックに行くというメンバーもいましたが、やはりまだ体調が万全ではないので残念ながら今回は辞退。七時四十五分に正装してロビーに集まることに。
 ルームナンバー610のカードキーを貰ったので、当然のことながら六階に上がったのですが、六階は食堂で部屋は一室もない。再びロビーへ降りてインフォメーションに聞くとなんと別 館のフロアだった。そんなの分かるはずがないよう。
 ボーイに示されたドアを見ると610-611と書いてあります。その扉をカードキーでなんとか開くと、中にまた扉が二つあって、それぞれ610、611と書いてあります……。何でこういう造りになっているのかしら、隣は誰が泊まっているのやら。中に入るとソファとデスクがある小さな部屋があり、さらにその奥にベッドとデスクのある部屋があるという、なかなか豪華な造り。
 着替える前にシャワーを浴びることにする。バスタブには普通カーテンがあるのだが、カーテンの代わりにガラス扉が水の飛び散るのを防ぐ仕組みになっていました。これはいいとさっそくバスタブに腰を下ろしたら、底が妙に湾曲しているので身体をひねって筋を違えてしまいました。お陰であやうく集合時間に遅れそうに……。
 昨年フランスのオスピス・ド・ボーヌで購入したワインネクタイを締め、黒いジャケットにアドバイザーバッチを付けてロビーに降りました。
 今夜が最後となる専用バスの運転手のパオロさんが、店まで送ってくれるという。タクシーで分乗するより楽だろうということで御好意に甘えることとなりましたが、なかなかお店まで辿り着けない。道を間違えてしまったみたい。結局八時着予定のところ、目的のお店「アイモ・エ・ナディア」に到着したのは午後九時。こっちは少々やきもきしましたが、お店の方も慣れたもので、こんなところはいかにもイタリアであります。ちなみに地図で見ると確かにこの店は中心部から離れていますが、ホテルからの距離は約4キロといった程度。本来ならば車で十五分もあれば到着できる場所だったようで……。
 ガイドブックの最高級レストランの項にも掲載されているこのお店、「社用族御用達、地元でも評判の一軒」と書かれています。奥の個室に通 されたのですが、壁一杯に前衛絵画が飾られ、販売もしているのか値札らしきものも付いてたりして。なかなかユニークですが、荒々しい原色の油絵は食事に合うとは言い難いような気が……。「ラ・ストッパ」では両親や祖父が集めた上品な絵が何枚も飾られていましたが、そちらの方がワインを楽しむには合っているような気がします。

 ←イタリア語で書かれたメニューを読めないのに読んでいるところ。

 毎回私が分かりもしないのに勝手にワインを選んでいるので、今回もバッチを付けた私めが……と図々しくもワインリストを手に取って「トレンティーノ・アルト・アディジェのゲヴルツトラミネールなんてどうでしょう」などと思わず口にしたりもしたのですが、最後はお店のソムリエさんに選んでもらいましょうとたしなめられ、前はカナダで仕事をしていたという若い男性のソムリエに、それぞれの料理に合わせたワインを一本ずつセレクトしてもらうことになりました。
 光栄です、と答えてソムリエの選んだ1本目のワインは、レバーのパテに合わせて白の「Due Mila Uno CAPICHERA VENDEMMIA TRADIVA 2001」サルディーニャのヴァンダンジュ・タルディヴ。甘口を想像したけれどそれほど甘くはない。当初フォアグラのパテと聞いていたので、ソーテルヌクラスでないと難しいのではと思ったのですが、レバーのパテなら相性は悪くはないし。もっとも隣に座っていたYさんの意見によると、食前酒のフランチャコルタの方が合っていたとのこと。
 二本目のワインは、少しスパイシーなタマネギを使ったパスタに合わせて、白の「Dessimis PINOT GRIGIO VIE DI ROMANS 2000」フリウリのピノ・グリジョ。割と辛味のあるバスタなのでシャルドネやソーヴィニヨン・ブランのようなタイプは避けたということのようです。ただパスタもそれほどスパイシーという訳ではなかったので、逆にもう少し酸味のある白でも良かったかも。
 三本目のワインはエビの料理に合わせて、白の「MONTERIOLO 1999」ピエモンテのシャルドネ。かなり樽香というかバニラっぽい香りのボディある白。やはりカナダにいたということだから、どことなくセレクションがアメリカ的なんじゃないかしら。ある意味どれもあまりイタリアらしくない、酸味控えめのボディのあるタイプが続きました。
 四本目のワインはメインの子牛の肉料理に合わせて「Podere Forte Petrucci 2000」シエナのサンジョベーゼ。かなり濃厚な少し甘味のある味わいの赤。若いせいか少し粉っぽさか残るけれど、かなりパワーのあるワインで、最初はカベルネかと思ったほど。ある意味こういうものがイタリアにもあるのだ、という発見もあって私は面 白いなと思ったのですが、なまじあの「ストッパ」の後なだけに、イタリアらしいワインを求めていた多くのメンバーにはやや物足りなさが残ったようです。

 「Podere Forte Petrucci 2000」まるでカベルネのようなサンジョベーゼ。

 そういう場の雰囲気を知ってか知らずか、当店にはこんなものもある、ということでガヤの木箱に入って持って来られたのが、少々値の張りそうなビンテージ物。おそらくは「見せるだけ」だったのかも知れないのですが思い切って皆で出し合ってその中の一本を選んで飲もうということに。Oさんのバースディビンテージ「ビオンティ・サンティ・ブルネーロ・ディ・モンタルチーノ1970年」が選ばれました。
 さすがにこのクラスのボトルともなると扱いも慎重になります。パニエに寝かせてゆっくりとコルクが抜かれる……コルクの状態は幸い良好、水差しのようなデカンターにろうそくの火で透かしながらゆっくりと移し替え……無事デカンテーションは終了し、ソムリエも面 目を保てたご様子。
 かなり強くて若いタイプのワインを料理と一緒に口にしてから後に飲むには、ややデリケートな逸品ではあります。しかしほのかな果 実香と酸味もしっかり残った熟成したブルネロは、ピノの持つあの独特のムスク香こそないものの、かなり骨格のしっかりしたものでした。ビオンティ・サンティはブルネロの本家本元であり、今のオーナーの父親の代でしっかりとした名声を築いたのですが、世代交代の後の90年代以降は少しその品質に疑問が持たれているそうです。そういう歴史的な意味合いの上でも興味深いワインでした。
 ちなみにワインのラベルを記念に持ち帰りたいと申し出たら、ここにはないけれど日本の方ならラベル保存用のシートを持っているのではないですか、と言われた。なるほど鋭い指摘! フランスでもイタリアでもこのラベル保存シートは全く普及していないみたい。
 デザートとカフェの後は、グラッパ2品を回し飲み。こちらの要望に先方は首をかしげつつグラスを余計に用意したりしていたので、こちらでは回し飲みというのはあまりやらないのかも。名前は忘れちゃったけれど、女性向けの柔らかいものと男性向けのしっかりした味わいのものが用意されました。私は前者の方が少し甘めの香りで良いかと思いましたが、人気があったのは男性的な後者の方でした。
 食事代は本来旅費に含まれていましたが、ワイン代として一人60ユーロの追加徴収。さすがに持ちあわせがないので翌日日本円で払うことに。ソムリエに「Thank you for your selection.」と挨拶して、空瓶を持ち帰りそのままタクシーでホテルへ。始まりが遅れたこともあり、既に午前一時。部屋でMTV放送を流しながらラベルをせっせと剥がしていたら、いつのまにか午前三時になっていました。


→第8日(最終日)「ミラノ散策〜成田到着」へ

←第6日へ戻る


◆トップページに戻る。
◆「宇都宮斉作品集紹介」のコーナーへ。
◆「宇都宮斉プロフィール」のコーナーへ。
◆「一杯のお酒でくつろごう」のコーナーへ。
◆「漫画・映画・小説・その他もろもろ」のコーナーへ戻る。
◆「オリジナル・イラスト」のコーナーへ。
◆「短編小説」のコーナーへ。