「1月の独り言」


1月23日。

 板橋区文化会館の「ファミリー音楽会」を聴きに行きました。台本は同じくワークショップに在籍していたKさんの手によるもの。昨年の舞台の脚本を書いたOさんといい、皆さん、精力的に活躍しているなあ。
 内容的には、天国から落っこちてしまい、死んでからでないと戻れなくなった天使の卵から生まれた「たくやくん」の一生を、「こんにちわ赤ちゃん」から「帰ってきたヨッパライ」(!)に至るまで全て音楽で綴ってしまおうといいもの。知っている曲が殆どとはいえ、これはなかなか楽しい企画でした。
 でもやっぱりこういう時、ワーグナーの「ローエングリン」の結婚行進曲を使うんですね。確かに良く知られた、ぴったりのメロディではあるんですが、劇中のローエングリンとエルザの結末を思えば、あまり縁起良くはないという気が……。
 夜はフグ鍋。日本酒の「黒龍・垂れ口」を楽しむ。五人で一升瓶一本、手頃な分量でした。そういう意味では日本酒ってほんと、コストパフォーマンスが高いなあ。


1月22日。

 20日の夜、ベッドの端に右足の薬指を思いきりぶつけた私は、しばらく悶絶した後に、まあよくあることだ大丈夫だろうと思ってそのまま寝たのですが(眠れるくらいだからそれほどの痛みでもなかったわけで)、次の日の夜あらためて指を見ると、変な形にみみずばれが走ったように赤く腫れている。激痛というほどでもないので余計に不気味に思い、22日土曜の昼、整形外科へ行くことにしました。
 「変な腫れ方ですね」と医師に言われて思わずどきどきひょっとして骨折かしら。レントゲンを撮ってみると、折れたりはしていないものの、指先に近い部分がちょっと欠けているらしい。中指とくっつけてテープで止めて、一件落着。「でも指先は血も通りにくいので、完治するのに一ヶ月くらいかかるかも知れませんね」……な、何〜?
 気を取り直して、午後からは自宅で新年会。ここのところ何かと理由をつけては飲み会やっているなあ。年末忙しかった反動かしら。空想小説ワークショップのメンバーを中心に、サイコドクター杉並さんといったホームページ仲間(?)も含めて、総勢九名が集まって八本ものワインを空けたのでした。
 懐かしアニメオープニングビデオを観たり、「少年カトリ」の録画ビデオを観たり、「ブレードランナー・ディレクターズカット」のDVDを観たり、キングギドラの折り紙を作ってもらったりと、なかなか楽しかったのですが、中でも傑作なのが「カトリ」のビデオ。香取慎吾と大竹まことのおふざけ十分間番組なのですが、香取慎吾がおばあさんのスターシャの二役をやったり、木村拓也がゲストで少年刑事に扮したり、マネキンが意味なくスケボーに乗せられて坂道を転げ落ちていく「スケボー・ガール」なんていうコーナーがあったりと、出演者の割にはとてもマニアックな内容でした。お宝ビデオなので「頼まれても貸さないよ」とのことでした。残念!
 


1月8日。

 この日は久しぶりに会う大学時代のサークルの友人の家で新年会。手ぶらでOK、ふぐもアンコウもある、というので喜んで立会川まで出掛ける。ついでに同人誌も買って貰おうという魂胆。行く途中京急の快速に乗った為に通り過ぎて川崎まで行ってしまうというへまをしたものの、取り合えず約束の時間には間に合う。
 六人分の鍋の材料があるのに、集まったのは四人(休日なのに仕事が入ったという人もいて、みな良く働くよなあ)。集まった中の一人は直前にトンカツ定食を食べてしまったという反則技。これは材料余るか? という懸念もあったのだが、三時を過ぎるとちゃんとなくなり、ついでに一升瓶も空きました。食欲があるというのは良いことですな。
 鍋の後「何とかイコちゃん」というビデオを観る。森田健作主演・脚本の文部省推薦の交通安全奨励ビデオらしいのですが、子供達を誘拐するゆうかい星人(人の手が入って動かしているぬいぐるみのへび)や交通ルールを守らない人間を襲う無人車(普通の車のライトに目の描いてある紙が貼ってあるだけ)を相手に森田健作率いる地球防衛軍が戦うというとてもチープな愛すべき30分ビデオでした。科学者なのに毛皮のコートを着た一本木蛮が出てる〜、恐い〜とか言って盛り上がる。この人今何をやっているのかな。
 その後新宿に繰り出し、「稲穂」という店で再び飲み会。さすがに日本酒は一杯しか飲めなかったです。この時飲んだのは「上喜元」の生。濁り酒でした。

1月9日。

 昨年末、空想小説ワークショップのメンバーであり、昨年12月に「SEVENTH HEAVEN」の脚本を担当し出演もしたOさんから電話がありました。なんでもOさんの後輩で映画学校で勉強している人がいて、課題で短編映画のプロモーションビデオを撮るので、できれば自宅を撮影場所に使いたいのだという。まあ確かに撮影に充分なスペースはあるし、そういう人のためなら構わないでしょうと承諾。
 その短編映画のプロットでは、夫婦が家の中で会話しているというシーンが必要なのだそうだ。ワークショップのメンバーの中には結婚している人達もいるのだが、断られてしまったとのこと。どうやら妊娠・堕胎がキーワードになっている作品なので、それはちょっと、というわけだ。無理もないです。
 7日の夜にOさんと監督のU氏がまずロケハンに。なかなか本格的であります。部屋を見て一応納得していただけたらしく、9日に撮影することに。
 9日には上記の二人の他に、映画の中で夫役を務めるK氏も参加。あの「SEVENTH HEAVEN」で王様を演じた方でした。存在感のあるうまい人だなあと思ったら、やはり以前に舞台をやっていた方で、同じ劇団にあの今泉刑事こと西村雅彦さんもいたらしい。納得。
 一時に待ち合わせ、しばらく一服した後三時くらいからリハーサル。主人公のOさんと夫役のKさんの会話をワンカットで撮るわずか三分間の撮影なのですが、やはり舞台経験のある人達は違うなあ、納得するまで休みなしで繰り返し練習。課題用の提出作品だし、三分間の撮影なら一、二時間で終わりだろうと高をくくっていたら、結局監督のOKが出たのは午後10過ぎ。いやはや、たいしたものです。締めにご苦労様の気持ちをこめてワインのハーフボトルを空けました。
 監督のU氏はまだ二十代なのに私の知らないような映画を沢山知っているし、王様ことK氏も私以上のマーラーの音楽のファンだしということで、なかなか楽しい一日を過ごさせて頂きました。U氏の今回の提出作品は、もし旨く行けば実際の短編映画の製作・上映まで漕ぎ着けるのですが、それに選ばれるのは同じ学校の80名のうち僅かに4名。なかなか厳しい倍率です。K氏も今年中に新しい舞台をやる予定だそうで、こちらの方も楽しみ。うーん、皆さん頑張っているなあ。
 


1月1-2日。

 いよいよ2000年の幕開け。カウントダウン終了するもトラブルなし。本屋で立ち読みしたY2KをテーマにしたSF本なんかは、「まず日本が闇に閉ざされ……」なんていう描写から始まりますが、見事に何も起こらなかったなあ。もっとも今年はこれのおかげで年末年始出勤を義務づけられた人が多いから、ある意味皆でトラブルを未然に防いだのだとも考えられますけど。
 それにしても、テレビでは世界各国で花火やらパレードやらえらく景気良くイベントを盛り上げていたけど、日本では何かあまりそういうのやっていなかったみたいですね。一番白けていたような気が……。2000年問題で自粛、というつもりだったのかどうか分からないけれど、他からみればえらくつまんない国、で片付けられてしまいそうな感じがします。

 正月はとりあえず実家でだらだら過ごす。テレビを観ながらワインを飲んでいれば大抵すぐに二三日過ぎてしまう。ちなみに父親は31日も2日もマージャンに行くので殆ど会話もしないで済む。あの年齢でマージャンの相手がいるというのも不思議ではあるが。
 お正月番組はつまらないと嫌がる人が多いが、実はそれほど嫌いではないです。もっとも今時お正月に家でテレビなんて人は少なくなっているようで、以前あった番組もいつの間にかなくなっていたり、縮小していたりします。「隠し芸大会」も規模を著しく縮小して2日放送になってたし。1日は「踊る大捜査線THE MOVIE」。丁度一年前の正月に弟と観に行った映画ですが、なんだかんだ言っても良くできています。少々映画としての仕上がりは小粒な印象ですけど。
 2日は弟の車で池尻大橋の出口屋にお買いもの。ちょっと今晩飲むお酒を調達、のつもりが、9本のワインを購入する羽目に。去年は引越等でお金を使ったから、今年は無駄遣いしないこと、と宣言したつもりが、しょっぱなから既に暴走しているなあ。

1月3日。

 前の日ワインを買い込んでしまったおかげで、電車で帰るには持ちきれず、弟の車で西大島の自宅へ戻る。うーむ、車は便利じゃのう。
 この日は空想小説ワーショップの友人達と映画鑑賞。「海の上のピアニスト」「ジャンヌ・ダルク」「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」と話題作が多いと思っているのだけど、映画通の友人M氏に言わせるとどれも「鑑賞に値せず」と厳しい評価。そこで本日観に行ったのは大島渚の「御法度」
 新撰組のおかま騒動なんていかにも……と思っていたけど、後で原作の司馬遼太郎の「新撰組血風録」を買って読んでみたら、驚くほど原作に忠実だったことを知りました。最後のシーンまで同じだったとは。
 その後銀座でお買いもの。デパートで古書販売をいたので寄ってみようということになり、結局誘惑に負けてフルカラー大判の恐竜の本とワインの本を買ってしまう。今年は無駄遣いしないことと宣言したつもりが以下略
 そのまま自宅でささやかな新年会。M氏の持ってきた昔のテレビアニメオープニング集のビデオを観て盛り上がる。結構観ていないものも多いなあなどと懐かしがったりして。


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