「10月の独り言」


10月29日(土)〜30日(日)

 ふと白い紙や白い壁をぼーっと見ていると、目の前に小さいゴミが浮かんでいる……少々うっとうしいと思ったので、試しに目を洗ってみましたがあまり変わらない……。気になってどうしようもないというほどでもないのですが、何かのテレビで「最初もやもやが目の中に現われて、やがて視界が歪むようになり、ある日突然失明に……!」なんて話を観てしまい、ネットで検索してみたら「飛蚊症」という厄介な代物で、網膜剥離や糖尿病の危険信号とまで書かれている……こりゃヤバイかも、と思い眼科で診てもらうことにしました。
 眼底検査をしてもらい、ドキドキしながら診断結果を待つ。
 「硝子体に濁りが生じて、その影が網膜に写るので、ゴミみたいなものが見えるんですね」
 「……原因は何ですか?」
 「単なる老化現象です」
 ……がっくし。

 「でも左目は、委縮した硝子体が網膜の一部を引っ張って、傷ができてますね。網膜剥離裂孔です」
 「……は?」
 「レーザーでふさぎましょう」

 名付けて「網膜光凝固術」! 放って置くと、傷口から水が入り込み本格的に網膜剥離を起こすので、その傷の部分にレーザーを当てて、若干の火傷を起こすことにより傷を塞ぐというもの。目の中にレーザーを当てるなんて大丈夫かしら? とはいうものの5分で済む治療で、手術というほどのものでもないというので、結局受けることに。
 でもやってる最中に機械が故障したら? やってる最中に地震が起きたら? どうしても谷崎潤一郎「春琴抄」の自分で目に針を刺すシーンとか余計なことを思い浮かべてしまう……と、そうこうしているうちにレーザー照射は終わり、直後には多少目の奥がヒリヒリしたものの、大して実感の湧かないまま治療終了。
 「これでゴミは消えますね」
 「……? 消えませんよ」
 「は?」

 「どちらも硝子体の老化と委縮が原因ですけど、網膜の傷を直しても濁りは消えませんよ。飛蚊症は一種の危険信号ということで、お陰で早めに気付いて良かったということです
 「……」
 というわけで、相変わらずぼーっとしていると目の前を小さな蚊が飛ぶ現象に変わりなし。目は飛蚊症、首は頚椎症、舌は左三分の一削ってるし、耳は突発性難聴になったし(今でもストレスが続くと結構危ない) 、体があちこちダメになっていく……うーん。

 日曜日、池袋でのセミナー申込の際、もらったチケットがあったので、朝から西武ギャラリー「マリア・テレジアとマリー・アントワネット展」を観に行く。オーストリア・ハプスブルク家の女傑マリア・テレジアと、その娘で革命時にギロチンにかけられたマリー・アントワネットにまつわる様々な展示物。ヨーロッパの歴史を語る上でハプスブルク家は教科書的にも重要な存在ですが、実際軍事的には決して強くないのに婚姻政策だけで700年もの間西欧の中心に居座り続けたその変遷の歴史は読み物としてもドラマチックで面 白いです。マリア・テレジアの家族構成やその子供達の悲喜交々(マリー・アントワネットの他にも、めでたく恋愛結婚を認められた娘もいれば、政略結婚でイタリアにムリヤリ嫁がされた娘も、はたまた重圧に堪え兼ねて「引きこもり」になってしまった娘もいて結構大変)、プロイセンのフリードリヒと対等に戦い、女帝と母親という二つの大役を見事務め上げた実力者は、実際子供達にとっては恐怖の存在だったみたい。小規模な展覧会でしたが、マリー・アントワネットの軍艦カツラ(?)や美しく彩 られた便器までアリという意外に充実した内容でした。出口にはさっそく池田理代子の「ベルサイユのばら」文庫本も積まれていましたが、今描くならやはり当時の髪形くらいはきちんと再現しないといかんなあと思ったのでした。
 講座の後、軽く食事をしてから湘南スカイライナーで逗子にある神奈川近代美術館へ行き、「"GAUDIA" シュヴァンクマイエル展」を観に行く。少々遠いけど、存命する中でほぼ唯一尊敬するシュルレアリスト、「ジャバウォッキー」「オテサーネク」の作者、チェコの映像作家ヤン・シュヴアンクマイエルの展覧会となれば観に行かないわけにはいくまい! ということで、逗子まで一時間超、そこからバスで20分……着いたのは午後三時頃でしたが、それほど混雑はしていなかったので、割とゆっくりと観ることができました。ヤン・シュヴァンクマイエルの妻で夫の映像作品の美術にも参加し続けた画家のエヴア・シュヴァンクマイエロヴァ(チェコでは夫妻は名字も微妙に語尾が変化するのだろうか)の作品が多く展示されているのもうれしい。エヴァはついこの間、10/20に急逝されたらしく、急遽追悼企画の案内が貼り出されていました。芸術家の夫婦としては、相手を取っ換え引っ換えの「ピカソ」バターンと、一生涯一人の奥さん一筋という「ダリ」パターンがあるように思われますが(まあこの分類は少々強引……)、シュヴァンクマイエルは後者のバターンかと思われるので、奥さんが亡くなったとなるとこれからがちょっと心配……。2006年には新作「ルナシー」が公開予定ですが、その次の作品はどうなるのかしら。


10月16日(日)

 この日は取りあえず朝から池袋のセミナー(一時間程度の簡単な英語講座)に出席し、その後Sさんと落ち合い軽くランチをした後浅草へ。浅草では昼から仲間うちで食い道楽ツアーが始まっていたのですが、セミナーのあった私は勝手に途中参加することにしたのでした。しかも連絡先が分からずSさんの携帯経由で参加者のYさんに連絡を取り付けるというやや強引な展開。
 浅草ツアーは既に終了していたので、そのまま浅草からお台場へ向かう水上バス「ヒミコ」に乗ることに。実はこれが今回の浅草ツアーのメインだったとか。松本零士プロデュースのちっと未来的な水上バスの中には、「銀河鉄道999」のキャラクターのカットアウトが飾られ、アナウンスには「999」のキャラクターを担当した声優さん達の声が流されます。天気は今一つでしたが、中はカフェ風の座席配置になっていて結構くつろげました。お台場のヴィーナス・フォートまで散歩し、軽く夕食を取って解散。何とも健康的な(?)休日でありました。


10月10日(日)

 あいにく天気も悪く、あまり外へ出る気もしなかったのですが、土曜日の飲み会も行きそびれたし、3連休ずっと家にいるというのもなんだな……というわけで、映画と展覧会に。
 新宿東急で「シン・シティ」を観る。朝一はさすがに席が空いていましたが、2回目からは外に列が……。そこそこ人気はあるみたい。感想はこちら。
 その後、新宿の東郷青児美術館で、「プラート美術の至宝展」へ。チケットをもらっていたので、終了までには観に行かなくてはと思っていたもの。開催終了が10/17に迫ってきていたので、さっそく観に行きました。プラートはフィレンツェの北にある街で、中世には独立した自治都市として繁栄していたといいます。フィリッポ・リッピの三枚の宗教画がメインで、他には一部ウッチェロやドナテッロの作品も。
 3連休で結局出掛けたのはこの日だけ。翌日は昼まで寝て、しばらく起きていたら夕方また眠くなって夜まで寝てました。最近疲れやすいな〜。  


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