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岡田
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2002/08/24 17:37:33 |
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このコミカルな歌しばいの中で描かれる、 社会的な価値観、人間的な教訓の一端をご紹介します。
酒、女、そして博打に溺れた亡者を、地獄に送るか、極楽に送るかで、 <正義!公正!>の立場から、閻魔大王が迷うクライマックスの場面。 地蔵は、ロックのリズムに乗って、河内弁でこう言います。 「こねぇ名ぁもないスカタンを、地獄へ送るが正義じゃとォ! まこと地獄へ送らにゃならん連中を、 おんどりゃあ、見逃しとりゃせんか! さあ!よう、目ぇむいて、しっかりのぞいたらんかい! この国の、花の都の政治に、 蜜を求めて群がり集う、嫌らしい奴ら! 口八丁手八丁、おのが舌先三寸で、 五億、十億、百億と、掠めとったる袖の下、 もとはといえば、民百姓の汗と涙! そんな輩が、うじゃ、うじゃと、うごめっこんのが、 みえっりゃろが。」
地蔵はさらに続けて、河内人の人情の機微にも触れます。 「この亡者、酒と女にゃ、だらしないが、 夏の暑さに、あえぎあえぎ働いて、 冬、寒うても、歯ぁくいしばり、 貧乏も辛抱、 偉うなろうとも思わんと、一生懸命生きていっこった。 こねぇな河内のやつがれを、 閻魔大王の体面、面子で、どうでも地獄送りにするつもりけ! 人の情けもわかりくさらん、お前んのようなビビンチョとは、 今日限りに、縁切りじゃ!」
こういわれては、さすがの閻魔大王も、 亡者を地獄に送ることはできません。 最後にはなんとか、母のいる極楽へ・・・ということで、 この歌しばい、めでたし!めでたし!となるわけです。
「他人の痛みは、おのれの痛み、 他人の喜びは、おれの喜び、 それが人間や」・・・ と。
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