「8月の独り言」


8月30日(土)〜31日(日)

 辞令を受け取り、9月から職場が変わることに。
 もっとも同じく東京勤めなので、引っ越しの必要もなし。書類を大幅に整理して送り付けるのみ……ということで、宴会の名目ができたとばかり、さっそく自宅でワイン飲みの会を開く。
 総勢七名で、結局八本のワインが空に……それ以外にも確実に一人当り缶ビール500mlサイズ+缶 入りアルコール一本は余分に飲んでいる……相当なものであります。漫画仲間、小説仲間、ワイン仲間と家に来る人には色々な集まりがあるのですが、職場仲間が一番飲みますね〜。従って職場以外では私はそれなりに酒が飲める人ということになっているのですが、職場では確実に「飲みの足りない人」で通 っています。なにしろ私の飲むペースは他の人の約半分ですから。
 私はそれなりにワインと料理の組み合わせを考えて準備するのですが、今回も飲むペースが速すぎてついていけない。シャンパーニュに合うチーズを切って盛りつけた頃にはシャンパーニュは空いているし、魚介のパスタを出すころには白ワインなくなってるし……。
 ちなみに今回のテーマはイタリアン&プチ・フレンチ。Mさん持参の「ヴーヴ・クリコ」で乾杯した後、前菜にハムとピーマンをゼリーで寄せた「ズルチェ」(もちろん購入)、これにY夫妻の持参してきたプロシュート(生ハム)とイチジクを、こちらで用意していたマンゴーと合わせる。チーズは28ヶ月物のミモレットを用意。前週のシャンパーニュの会で出されたものがカラスミのようにクリーミーで非常に印象的だったので。これにシャンパーニュに合うと言われたシャウルスと、ウオッシュチーズ、ハーブを巻いたロール状のフレッシュチーズ、シェーブルなどを、Tさんが持参してくれたフォーションのパンに合わせて出しました。
 土曜日ともなるとあまり準備する時間もないので、シンプルにボンゴレのパスタ。酔ってて手元が狂いがち……。そして鴨肉のロースト・ブルーベリー風味。こりゃ二週間前に用意したものと同じですね。もう一日あればワイン煮を作るところなのですが、時間のない時はこれくらいで勘弁してもらおう……。
 こちらで用意したワインは、シャンパーニュに「アルフレッド・グラシアン」、「ヴーヴ・クリコ」同様ボディのある辛口。白はイタリアの「サクリサッシ2000年」とカリフォルニアの「シャトー・ウォルトナー97年」。前者はピノ・グリジョにピコリットという珍しい品種を使ったもので、シャルドネにはない花香が特徴的。後者はかなり色も濃く樽香が強いので、かなり好みが分かれるところ。赤はカリフォルニアの「シェイファー・メルロー99年」それなりにしっかりした物だったと思う……というかこの段階で殆ど覚えていない……。
 ひと段落したところでA氏持参の秘蔵のウイスキー、そして生野菜……どういう話の流れか、生の青トウガラシのかじりっこになり、全員でヒーヒー言うはめに。なにがどうなって生トウガラシだったのか、今となっては全くの謎です。最後はOさんが予約注文までしてくれていたケーキを頂きお開きに。いつの間にか11時を回り、さて片付けようかと思って横になった途端に寝入ってしまったのでした
 
 さて翌日は東京流通センターで開催のコミッティアに参加……。きちんと準備するつもりでしたが、間に合わないのでテーブルの上を散らかしたままタクシーで会場まで急ぐ。5,000円近くかかった。くそ〜。
 なにしろ前日鬼のように飲み食いしたので、殆ど顔も上げられない状態。あいにくの天気の上やる気のない売り子……という状態にしてはそれなりに人も来てくれたと思うのですが、タクシー代で既に赤字であります。何やっているんだか。
 この日の夜は知り合いとの飲み会という話もあったのですが、何しろ自宅のテーブルは割れたグラスまでそのままという状態……しかも次の週は殆ど毎日送別 会の予定が入っているし……ということで大人しく秋葉原で一人ラーメンを食べた後自宅へと引き上げました。たらたらとテレビ観ながらの後片づけはなかなか進まない……ということで夜の11時近くまでお掃除をして、楽しくもハードな週末は終わりぬ 。こ、このまま翌週毎晩飲み会に突入するのか……。うーむ。


8月24日(土)

 E氏宅にて夏のワイン会。
 8月も20日を過ぎたらいきなり暑くなってしまいました。やっぱりなんだかんだと言っても暑いのはしんどい。というわけで、駅から15分ほどE氏宅へ向かって坂道を登っただけで汗だくになりました。こちらでは今年始めてクーラーをつけるとか……。
 今回は特にテーマも設けず、適宜美味しそうなものと面白そうなものを、ということで、私はフランス物を三本と、チリ物を一本持参しました。詳細はいずれワインのページで。7本を9人で分けたのですが、体調の悪い人1名、殆ど飲まない人2名ということで、実質的には4〜5名といったところ。さすがに酔って眠くなりましたね。
 
8月25日(日)

 昨日しこたま飲んだというのに、昼からワインスカラのプレステージランチに出掛けました。
 場所は西麻布、APAホテル1階の「スイス・シャレー」。元々は新宿のビルの高層階にあったのですが、ついこの7月に場所を移したのだそうです。新宿にあった時は度々……というか2〜3年に一度程度利用していたのですが、夜景とか見られなくなるのかと思うとちょっと淋しい気も。
 今回は「シャンパーニュ」特集。ランチの最初から最後までシャンパーニュで通 すという夏ならではの企画。いい具合に天気になって良かったです。
 アイテムは「ゴッセ」をベースにしたカクテル「ベリーニ」に始まり、ポール・ロジェ・サー・ウイストン・チャーチル」1993年、「サロン」1995年、 「ドン・ペリニヨン」1995年、「クリュグ・ビンテージ」1998年、 「テタンジェ・プレステージ・ロゼ」、「ペリエ・ジェエ・ベル・エポック・ロゼ」 1997年まで、錚々たるラインアップ。
 飲んだことのある銘柄も多いのですが、やはりこうして並べて飲むと結構違いがあるものですね。実際自分の家で飲む時は、ここまでずらっと飲み比べすることはできないので。そうでなくても一度栓を開けたらガスが抜けていっちゃうし。意外とテイストに奥行きがある「ウィストン・チャーチル」もいいし、いかにも自然な発酵の風味のある「サロン」もいいけど、別 格なのは「クリュグ」のビンテージ。他の倍の濃さがあるように感じられます。逆にこの中では「ドンペリ」が一番フラットで普通 に思いました。
 前菜は冷たいスープの「ガスパッチョ」に、ピーマンのムースやキャビアなど。「スズキのカルパッチョ」はオリープオイルと岩塩だけというシンプルな味付けながら、粒の粗い岩塩が非常に味わい深くていいです。メインは「リー・ド・ボーのポワレ、エシャロットソース」……これは淡泊なレバーといった印象。フロマージュにはミモレットの24ヶ月熟成が出されましたが、これがまるでカラスミのような味で驚き。今まであまり食べてこなかったけど、今度買ってみようかな。デザートはグラン・マニエのアイスクリーム。非常にフワッとしていてクリームというよりはムースという感じ。オーブンで焼いたと思われるオレンジのスライスがアクセントとして効いています。
 テーブルに出されたちょっと灰色がかった岩塩が気になったので、帰りに明治屋でそれらしき物を買ってしまいました。あっ……そういえば肝心のミモレット買うのを忘れた……。


8月14日(木)

 知人のT氏が夏休みで遊びに来るというので久し振りに料理を作りました。
 あまり量も入らないだろうということで、新宿伊勢丹まで足を伸ばし、鴨肉やあさりなどを購入。
 前菜はマンゴーとプロシュート(生ハム)。プロシュートとイタリアンパセリをT氏の近所で売っているという焼き立てパンに挟んだだけで、立派なランチになります。パスタはフルーツトマト入りのボンゴレ・ビアンコ。「幻のパスタ」ことヴォイエロを使用したのですが、これはT氏の推薦でもあり以降拙宅に来た方の間では「このパスタは美味い」と評判の品で、下手な小細工をしなくてもガーリックと白ワインと塩コショウで充分味わえるものです。メインは鴨のローストで、しばらくの間ブルーベリージャムと赤ワインに浸して置いた鴨肉をローストし、残った漬け汁を煮詰めてソースにするもの。シンプルながら結構いけます。本来なら血入りソースにするのでしょうが……。
 用意したワインは白がパスクア・ソアヴェ・スペリオーレ2001年で、赤がドミニク・ローラン・ジヴレイ・シャンベルタン1997年。前者は普通 のソアヴェよりも酸味が穏やかでそれでいてフレッシュな印象。後者は5年熟成にしてはしっかりとムスク香のある濃厚な味で、鴨肉との相性もばっちり。
 以前は肉の焼き方も知らなかったのに随分と進歩した、とはT氏の弁。確かに大学時代、回りに下宿生活で自炊が当たり前の友人達が多い中、結構肩身の狭い思いをしたものです。一人暮らしでないとなかなかやらないよな〜料理って。

8月15日(金)〜16日(土)

 横浜でカクテルを飲もうの第二弾。今回はバラエティ路線で。
 横浜駅西口の「マルソー」はフレアカクテルを披露してくれるお店で、一度テレビで観たことがあるような気がします。「ライディーン」というカクテルを注文すると、炎のついたボトルのジャグリングを披露しつつ、逆さに重ねた何本かのグラスの頂点から火のついたロンリコを落とすと、表面 を伝って炎がグラスまで下りて来ます。ロンリコにマンゴーリキュールというアルコールの濃いお酒を使いながら、仕上がりはじつに飲みやすいロングカクテルでした。最近流行っているロングカクテルは? とのリクエストに返ってきた答えが「ソル・クバーノ(SolCubano)」……先日「ソルトバーム」と聞こえたのはこのカクテルのことか……ラムにグレープフルーツとトニックウォーターを加えたシンプルなもの。野毛に移動し、二軒目の「サウス」では「フレンチ75」というジンフィズにスパークリングワインを合わせたタイプのものを頂く。店内では何故か「ジュラシックパーク3」のビデオが……。三軒目の「パラディー」にて紅茶リキュールを使ったカクテルを頂いた後、四軒目の「ペペック」へ。ここではグレープフルーツが美味しそうに飾られていたので、グレープフルーツを使ったカクテルを次々と注文。ビールにグレープフルーツを加えたカクテルはまるで白ビール、ヒューガルテンの樽生のような味わい。「プリンセス・ダイアナ」はカシスとグレープフルーツをトニックウォーターで割った物で飲みやすい。グレープフルーツリキュール「パンプルムース」を水割りにするとまるでポカリスエットのようにスイスイ飲めます。アップルリキュールにグレープフルーツジュースを加えた「アップルシード」なんてカクテルも。アマレットにダークラム、ピーチリキュールにグレープフルーツを加えたオリジナルカクテルは、色も鮮やかな赤で梅酒のような味わいでした。
 その後五軒目の「メリー・ウイドウ」という店でラムベースの「ボストンクラブ」を注文したあたりからそろそろ限界……隣ではSさんがバーテンダーとテキーラのショット飲みをしているというのに(……つ、付いて行けん……)。六軒目の「シュール・ティー」という店では、何を注文したのかさっぱり覚えていないという……(はっきり言って、寝てました)。でもテーブルに仕込まれた蛍光灯が、穴の開いたコースターを通 してグラスを下から明るく照らすという趣向がなかなか印象的でした。
 夜の七時に始まり、翌朝の七時まで飲み続けるというなかなかハードな12時間。でもこれで横浜のカクテルは制したぜ(思い上がりだっつーの)。次は自分で作るしかないな。もっとも私のシェーカーは大分前から食器棚の上に放って置かれているのですが。

8月17日(日)

 恒例のコミックマーケット。タクシーで悠々到着の予定が、運転手が東京ビッグサイトを見失い焦る。
 あいにくの雨模様で、多分にそのせいか売り上げはイマイチ。どうしたんだ今年の夏は。お盆過ぎてもまだ梅雨が続いている! まあ今回は本の内容が薄いことも原因でしょうが……。お買い上げはワークショップのいつもの面 々。六人中私を含めて三人が、京極夏彦の新作「陰摩羅鬼の瑕」を持ち歩いているところがなんとも。久し振りに集まったところで銀座へ飲みに行ったのでした。雨ばかりの夏休み、なんか飲み食いばかりしていたような……。
 ちなみに「陰摩羅鬼の瑕」、読み終わったのはいいのですが感想が書きにくい……。幾つかのサイトで紹介されていたけれど、確かにネタバレせずに内容を話すのは至難の業かも。


8月2日(土)〜3日(日)

 土曜日はワークショップのメンバーによる朗読会があったのですが、一方でコミックマーケット用の同人誌の〆切が翌日だったので、夜の飲み会だけ参加。江戸川橋駅近くの「ZENSAI家」にて。2500円のコースというのにサラダから魚料理、肉料理、ピザにパスタまで9品近く出てくるのでビックリ。あまり腹具合がよろしくなかったにも関わらず全部の皿に手を付けてどうもなし。そうか家で閉じこもってるから調子崩すのだな。外で飲み会にいる時にお腹の調子が悪くなることは正直あまりないし。
 日曜日はぎりぎりまで原稿をチェックした後夕方池袋まで原稿持参で入稿。大学時代からお世話になっているコーシン出版さんは、久し振りに訪れてみると待合室まであっていつの間にかキレイなオフィスになっていました。同人誌で儲けましたね。私も累計すると三百万円以上ここに支払っているのです。あんまり暑いのでスポーツドリンクのPETをガブガブ飲んでいたらまたお腹の調子を悪くしてしまいました。何やってんだか。

8月9日(土)

 前日の金曜日に以前一緒の部だったIさんと飲んでいて、思わずその流れでこの日はお宅に遊びに行ってご馳走になることに。あいにくの台風接近のため、とにかく雨風が強かったのですが、なんの美味しいものが食べられるのであれば……。
 二年前にもご馳走になったのですが、その手際の良さは変わらずお見事。今回は私一人の訪問ということで品目は抑え目でしたが、日本酒と紹興酒の両方を使った濃厚な味付けのシジミの酒蒸し、大根おろしに明太子は酢と酒で微妙に味付け、グラタンに神戸牛ステーキ、最後にパスタと大満足のディナーでした。ビールを散々空けた後にワインを一本空けたのですが、さすがに帰りの電車では酔っ払って寝過ごしてしまい 、あやうく帰れなくなるところでした。翌日はしっかり昼過ぎまで寝てましたけど。

8月12日(火)

 横浜へカクテルを飲みに行く。Sさんに教わった「正統派カクテル」の店を2件訪問。
 「カサブランカ」山本悌地さんという方が店長の、フルーツカクテルを得意とする渋いバー。柴田書店からフルーツカクテルの本も出しているとかで、これはもうさっそく買わなくては。黒板に10種類近くのフルーツ名が書かれていて、それぞれのカクテルが注文できます。私はとりあえずラムベースで炭酸入りのロングカクテル(確か「ソルトバーム」とかいうらしいんだけど良く覚えてない……)、柚子リキュールとブルーキュラソーとグレープフルーツジュースでできた横浜カクテルことモダン・ボーイ、ココナッツミルクとアマレットをシェークして作るロードランナーなどを注文。
 「アンタッチャブル」は小林清貴さんが店長を務めるモダンなバー。ラムベースのショートカクテルに始まり、濃厚なマティーニを頂いた段階で既に危ない状態に。プラムを潰した上にアブソルート・ウオッカを注いでトニックウォーターで満たしたオリジナルカクテルを美味しく頂いたあたりまでは覚えているんだけど、間に二回ほどテキーラのショット飲みをやったお陰でついにダウン。始発で帰ることになりました。翌日お休みだったからまあいいか。またしても昼まで寝てました。
 それにしてもカクテルの世界は奥が深いし、それに比べて私の知識は異様に浅い。山本さんも小林さんも日本バーテンダー協会の大会で優勝し、世界大会にも出場したほどの実力の持ち主なのですが、その凄さが分かったと言えるほどの境地にはまだ達していないのでした。何頼んだら良いのか分かんないんだもの。Sさんいわく「もう少し勉強した方が……」……はい、精進致します。


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